蕎麦クレープと十割蕎麦 南生田『Re休(りきゅう)』

南生田『Re休(りきゅう)』



とても非常にすンごく気になる蕎麦屋情報があった。自転車の先生にしてかなり来ている重症の蕎麦オタである畏友「aiz」さんのブログだ。
南生田『Re休(りきゅう)』だ。

世田谷通りは自転車が走りにくい。特に生田から新百合ヶ丘間が嫌いだ。その中でも生田〜読売ランド間は左右に逃げ道がなく、狭くて混雑した世田谷通りを走らなければならない。さらに、エンジンの調整が悪く排気ガスが臭い自動車ばかりがこのこの間を走っている。
それは偏見だよ!って? そうとも、偏見だ。世の中は偏見と思いつきだけで動いているのだ。

で、地図を見ると、何と、読売ランドまで行かず、生田駅から南に、以前走ったあの道から登って行けばいいらしい。しかもあの程度ならば、貧脚のわたしでも楽勝の登り坂だ。

開店の11時のちょっと前に到着。
おっと、この場所か!「雛にはまれな」というと失礼かもしれないが…。
不便な場所にある手打蕎麦屋は数あれど、この場所はその最たるもの。近くに、風光明媚な公園や花の名所があるわけじゃない。何かしらのイベントが開かれたりすることもなさそうだ。お散歩していたらふと目に付いて、というわけにもいかない。お散歩好きでも、重度の坂道フェチでなければなかなかこのエリアのここまでは来ない。ここまで散歩しにくる必然性がまったくないのだ。

基本的にご近所さんが相手だろう。子連れの家族が日曜のブランチにのんびり蕎麦を手繰っていたりする。それとも、よほどの好事家、好き者、マニア、ある種の趣味人つまり蕎麦オタが来るのだろう。

開店。店内に通される。店を一瞥。瞬間来るものがある。aizさんに言われるまでもなく、この店は"はまる"。間違いなくいい店だ。いい蕎麦を食べさせてくれるに違いない。
メニューを見てびっくり。何という値段設定。十割蕎麦が"600円"…。それに「蕎麦粉のクレープ」と「蕎麦の実のピラフ」がついてのセットが"1200円"。
迷わずそいつをオーダー。

蕎麦粉のクレープ。いろんなハーブ(ようするにハーブの知識不足でよくわからない)が巻かれている。ピリ辛でうまい。とくにハーブ嬢とは深い関係を持ったことはないが、これは癖になりそうだ。ワインが欲しいぞ。
「スービニオンの白をグラスで」とオーダーする自分を想像してみる。

さて肝心の蕎麦切りは、丸抜き石臼挽きの堂々たる十割だ。その風貌と色合いといえば、お母さんが北方から移民してきたコーカソイド、父方のおばあさんはインディオとスペイン系の混血、ひいおじいさんには黒人の血が混ざっているそうだ…という感じの、ややぽっちゃり系の典型的な南米美人風味の田舎蕎麦だ。

例によって蕎麦に鼻をくっつけてクンクンしてみる。よく香っている。北海道の(どこだっけ?忘れた)の新蕎麦とのこと。量も不足ない。すばらしいコスパだ。その他のメニューもこんな感じの激安だ。いやはや、丘の中腹にあって貧脚にはつらいけれど、頻繁に来てしまいそうだ。いい店だ。


ご店主とちょこっとお話をして店を出る。11月とは思えぬ南風がいっぱいだ。このまま春秋苑墓地に沿って進んで、今日こそ生田の民家園に行こう。
でも・・・・・本当にこのあたりは坂道・だ・ら・け・・だ。せっかく登りきるとすぐ下りで、また眼の前に登り坂が・・・・・。
生田緑地に到着してからまた下りきる。ついに民家園の入り口に到着。ここからは自転車を置いて、徒歩で今下って来た厳しい坂を登ってまた下ってくることになる。

でもだいじょうぶだよ、最近"歩くこと"にも凝りはじめているのだ。しかも楽しい民家の写真三昧が待っている。何を隠そう、もと民家と街道と壁と田んぼの写真オタだったという犯罪歴もあるのだ。いたいた、民家たちだ! さて写真を撮ろうとする・・・・・と、カメラのバッテリーが切れたッ。せっかく、うまい蕎麦を食べてご機嫌で、しかも今日は入場料の500円も握りしめて来たのに、だ。
ああ、あなたはまたわたしに試練を与えられているのですね…。



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