ファースト・シーズンの終わり

ターミネーター御用達サングラス



ターミネーター:サラ・コナー・クロニクルズ(T:SCC)』、とりあえず発売されている「ファースト・シーズン」は見てしまった。DVDで五枚、全九話だ。
発売の仕方が微妙というか絶妙。第1話と第2話が単体で980円。第3〜9話が"ボックス"売りで7,840円…。ヲイヲイ!

最初は、映画T2を彷彿とさせるアクション満載のスピーディな展開。が、後半はとても地味だった。回を追うごとに、ストーリーがだんだんトーンダウンしている。
そりゃあそうだろう。最初はどーんと打ち上げておかなければ視聴率的に後が続けられない。そのままどーんといっていると、どんどん話が進んでしまうので続けられなくなってしまう。もちろん予算の問題もある。

だから、長期連載物は、ストーリーの本筋から離れて、どんどん"心理ドラマ"方面に進んでしまうのだ。
それに、心理ドラマならば、「登場人物の内面を掘り下げて、ドラマをより深くする」とかの言い訳もしやすいし…、ま、いいか。わたしのように"どーん"が観たいだけの打ち上げ花火好きは、決していい観客ではないし少数派だろう。

ストーリーもいろいろ矛盾だらけなのだが、それもよしとしよう。おもしろく時間を忘れさせてくれればいいのだ。そもそも最初から、『ターミネーター』シリーズ自体が、SFファンとしては矛盾だらけなのだ。"親殺しのパラドックス"とか"多元宇宙論"とかの話だ。

ジョン・コナーが自分と母親を守るために、父親となる人物を過去に送り込めたということは、コナー母子は守りきれるということだし、"審判の日"は確実に来るということだ。止められたとしても、それは、ジョンがいま戦っているスカイネットに支配された世界に影響をおよぼすことはない。スカイネットが発動しなかった、別の"平行世界"を一つ作るだけじゃないのか、云々。

だいじょうぶだよ。もう「セカンド・シーズン」は観ないといってるわけじゃない。ただ、頼むから「セカンド・シーズン」は『ターミネーター4』の公開前にDVDで出してね。お願い!

長期連載物がマンネリ化したりご都合主義的解釈に走るのはしかたない。でも、第9話のあんな"あざとい終わり方"をされたら、続きが気になってしょうがないじゃないか。シーズンで分けるならせめて、一応の完結感は出してほしいものだ。

ちょうど同じころ、夢枕獏東天の獅子』も読み終わった。「天の巻・嘉納流柔術」編だ。といってもこの物語もこれで完結したわけではない。これからが本番。前田光世コンデ・コマ)の話が始まるのだ。やっとファースト・シーズン全四巻が終わったということだ。

ただ、T:SCCと異なり、ファースト・シーズンできっちり話に決着がついていたのがうれしい。さらにうれしいことに、最後までトーンダウンすることなく、むしろますます物語る力は強まってだ。いい終わり方だった。満足させてもらいましたよ、ありがとう、獏さん。

でもね、問題もあるのだ。
あとがきによると、夢枕獏としては異例のスピードで完結させるために、同じような傾向を持つ他の作品が犠牲なっているそうだ。きっと次は、連載が止められていた『餓狼伝』の番だろうから、セカンドシーズン「地の巻」が読めるのはいつのことかわからない。

デビュー時から付き合い続けている読者として夢枕獏にはお願いがある。とりあえず物語としては決着がついた『東天の獅子』はこのまま終わってもいいから、書きかけの物語をちゃんと完結させてから逝ってほしいのだ。

正直いうと『キマイラ』は完結をあきらめている。でもせめて、『餓狼伝』と『魔獣狩り』は完結させておくれ。そうそう、せっかくあそこまで話を膨らましたのだから『大帝の剣』も頼むよ。長生きしてよね。
クレグレモオ体ヲゴ自愛サレ、益々ノゴ活躍ヲ祈念申シ上ゲマス。



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