分倍河原『よし木』の特注具沢山のかき揚げ

分倍河原 よし木 大かき揚げ



日曜日。快晴。風がない。ひさしぶりに多摩サイに乗る。いるいる。こんな日だ、きっと柄の悪いロード乗りが湧いて出てるんだろうなあ、と。思っていた通り。

でも、ま、いいや。
あれを食べると、どうしてもこれを食べたくなってしまうからだ。最も行きやすいコースが多摩サイなのだ。

今日の多摩サイ。雲霞のごとく。好天の多摩川べりを、人の迷惑考えず、二重追い越し三重追い越し、対向者をものともせずすり抜けるコスプレ集団。きっと集団から外れてサングラスとメットを取れば、気の弱いあんちゃんなんだろうなア、と思わせる風貌ばかり。

加えて今日は"府中多摩川ラソン"の日だった。
路肩に倒れこんで介抱されている人もいる。5キロ競技の参加者だろう。ランナーらしくない服装をしている。随所に大会関係者が出て叫んでいる。
「すみません、左に寄ってください」
「もうすぐ先頭が通ります」
でもローディーのあんちゃんたちは意に介さない。

そんなこんなで予想以上に走りにくい。でもだいじょうぶだよ。なんとか関戸橋までたどり着いた。

宇奈根『山中』と対照的なかき揚げを食べさせてくれるのが分倍河原『よし木』だ。今どきの江戸の蕎麦屋で流行りのかき揚げ。不思議なほどサクサクなタイプの極右に位置する。

到着。そろそろ開店時間だが、通りから見える打ち場でおじさんがせっせと蕎麦切り中。「こんちわ」。かまわず入り待たせてもらう。開店準備が整ってオーダーを。

ついに昨日、理想のかき揚げに出会ってしまった今更恐いもののない身だ。なじみの店だ。特注をお願いしてみる。
「中身大盛りのかき揚げ作って貰えませんか?」
「いいですよ。具沢山のやつですね」
と。

出てきた。すごい。厚さ10cmはあるだろうか。崩してみると、イカこそ入っていないがほんとうに具沢山だ。



満足して勘定を払う。
「お腹いっぱいです」
「そうでしょうね。1.5倍ですから」
府中多摩川ラソンはこれからが佳境だろう。多摩サイを避けて帰ろう。

これって不思議なんだよね。三鷹調布府中地区で幹線通りを避けて走っていると、なぜか人見街道に出てしまうのだ。知り合いの自転車乗りに蛇蝎のごとく嫌われている道路だ。片側一車線の対面交通。歩道なんてあるわけない。しかも交通量が多い。

もちろんわたしも大嫌いだ。別の理由でなのだが。こんな看板が立っているからだ。



特に今日は他の理由もある。口はまだ食べたいと言っているが、腹はもう止めてくれと言っている。1.5倍のかき揚げで満腹なのだ。
誘惑を振り切って帰る。

さて、今度はどこでかき揚げ食べようか…。



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