台東区生まれ故郷ポタ

微妙な場所、微妙な貼り紙



続けるのって難しい。大好きなポタリングでもだ。輪行するわけじゃない。自動車に乗せてどこかに行くわけじゃない。自分の脚でこいで行って、その日のうちに帰ってくるとなると、行動範囲が制限される。パターン化されてくる。

しかも困ったことに、おいしい蕎麦をご褒美に食べるためのポタリングである。半径20キロ以内に、頻繁に行きたいような蕎麦屋もたいした数がないのだ。

お気に入りはせいぜい10コース程度だろうか。生活のパターン化から多少なりとも逸脱する目的を持ったポタリング遊びのはずなのにだ。

だから、新しいお誘いには飛びついてしまう。

蕎麦仲間から誘われた。台東区のはずれ「日本堤」に行こう、と。飛びついた。強引に都合をつけた。でも、今日のポタリングの目的は蕎麦じゃない。その筋の人には有名な自家焙煎珈琲の店『カフェ・バッハ』だ。往復60キロを越えるポタになるだろう。

たかが一杯の珈琲を飲みに喫茶店へ…、片道2時間も自転車に乗って…、しかもどう考えても楽しい道中ではない…。いくら物好きでも…。

でもだいじょうぶだよ。行くのだ。目的はもうひとつあるからだ。日本堤を中心として南の浅草から北の千住エリアは、生まれて17歳まで暮らしていたなつかしエリアなのだ。
昔の「シマ」なのに、いったい何年足を踏み入れていないのだろう。久しぶりに行ってマーキングしてこよう。

もちろん自転車で乗り込むのははじめてだ。自転車小僧だったガキの頃を思い出して走ってみよう。
ワンタン好きだった父親行きつけのあのラーメン屋はまだあるだろうか?
おやつ代わりに食べていた一個8円のコロッケ。あの肉屋はまだ健在だろうか?
月刊漫画雑誌の発売が待ちきれないわたしに、内緒で発売の一日前の夜に売ってくれた、あの掟破りの本屋はどうか?
ときどき砂糖と塩を間違えて調理すると評判のあの中華屋は?
いつも一緒に遊んでいた満ちゃん。とっくに引越したのは知ってるけど、あの懐かしい家の後はどうなっているのだろうか?
初恋の映子ちゃんちは?

で、行ってきた。楽しかった。誘ってもらってありがとう。
GPSのログも取った。こんな感じだ。


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なつかしい店々もまだ健在だった。開発著しいと伝え聞いていた南千住も見てびっくりしてきた。ついでに気になっていた蕎麦屋、入谷『川しま』で田舎蕎麦の「鴨つくねせいろ」も食べた。やはりポタには蕎麦がからまなくっちゃ。

15年ぶりの『カフェ・バッハ』のハワイコナ。豊潤な香りで昔通りにおいしかった。「お酒を飲んだ方お断り!!」の貼り紙にも、あやうくセーフで笑えた。微妙な場所にあるからねえ…。

今度はきっちり予定を組んで一泊。夜は小学時代の友だちと飲んで、隅から隅まで走りまくってやろうじゃないか。