それぞれの春と『たか志』最強コラボのことなど

府中『たか志』で、Georgia On My Mind



三月後半は微妙で嫌な季節だ。
杉花粉の真っ盛り。予報を見ると、関東は赤一色だ。
だのに、桜の開花が始まる。満開はいつだろう。理由はないが、なぜか待ち遠しい。

誰に頼まれたわけではない。自転車に乗って開花状況をチェックに行く。杉花粉をかき分けてもだ。
ここはまだまだ。こっちは蕾が熟していいるので10日後には満開か。いい感じで三分咲きじゃないか、来週ぜったい来よう。えッもうこんなの…狂い咲き?。



今日は、仙川〜井の頭公園玉川上水小金井公園〜野川〜多磨霊園〜野川というコースをチェックして回った。どこもそれぞれの事情を抱えていて、一斉に満開になるわけではない。だから、長く楽しめるのだ。つかの間だけど…。

「で、どうだったのか?」
何が?
「桜の開花状況だよ」
だから、それぞれの春、それぞれの家庭事情があるんだよ。
「で、おいしかったか?」
うん。
「ようするに、蕎麦食べに行っただけじゃないか?」
というわけじゃないが、結果としてそんなものだ。

もう三月も後半だ。府中『たか志』は春の吟醸蕎麦“凛”になっているだろう。最近、公私共にだらけ気味だから「凛」を食べてあやかりに行こう…と自らに鞭打って、というか人頼みで、人馬は一路、西北西に進路をとる。

「おばちゃん、こんにちは。この間はありがとうございました」の挨拶もそこそこに“おこげ”を。やっとメニューを見る。予定通り、吟醸は春の“凛”になっている。が、メニューが少し変わっている。なんと、土日限定の“白吟”がなくなって、その替わりに“大吟醸”がメニューに載っている。

そんなことはどうでもいい。
「ご希望の方 冬吟醸そばを使用した“胡桃そば”あります」…の一筆。
それそれ!それをずっと待っていた!それください!と感嘆符だらけ。

おいしかった。芳醇な蕎麦の香りを楽しみながら、三分の一ほど何も付けずに食べる。残りの蕎麦は「胡桃だれに箸までどっぷり」つけてズルズル。至福のときを過ごす。夢見心地。
夢中で食べ終わり、この「古吟+胡桃だれ」の最強コラボがいつまであるのかすら、きき忘れてしまった。やはり、今月は「凛」となれないわたしなのであった。

でも、だいじょうぶだよ。またすぐ行けばいいのだ。今度は満開の桜を見ながら。