イタリア観光旅行(フィレンツェ[I])

Hosanm2007-12-04



ええっと、天気に強い、からはじめよう。一週間を越える旅程だ。一日くらい雨は降るだろう。で、今日はフィレンツェ観光。雨が降るならここで降ってほしい!というピンポイントで朝から雨。
この季節のフィレンツェは朝晩に雨が降るときいている。雨ごとに冬がやってくるのだそうだ。わずか三泊の滞在中、日毎に寒くなるのがよくわかる。

今日は降ってもいい日だ。だって、朝から、今回の旅行の最大の目的地、ウフィツィ美術館に行くのだ。宿からも近い。一日中雨降りでもいい。だいじょうぶだよ、ずっと、ウフィツィに居続ければいいからだ。あの絵の前、この絵の前、あっ、あれもこれも、あいつを忘れちゃいけない、をいをい、こんな絵もあるのかよ!と、ざっと数え上げただけで、ええ〜と、ひとつの絵の前に一時間いるとすると…、あ、もう閉館時間だ。というくらい、見所満載の美術館なのだ。と。すでに興奮気味だ。

前日、ローマからの移動日、ウフィツィ美術館の予約をとった。予約なしでの有名美術館見物は「バチカン博物館」で懲りたからだ。時間をみつけて公衆電話から予約電話をする。英語もちゃんと通じる。予約料金3ユーロに替えられない。

8時20分までに3番ゲートに来るように、とのこと。小雨のシニョーリア広場、サボナローラ処刑場跡を横目で睨んで、急ぎ足でウフィツィへ。遅れないように。ハンニバル・レクターはどこで講義していたんだっけ、などとどうでもいいことが頭をかすめる。

無事、8時30分に1番ゲートから入場。さあ、見るぞ。
ロンドン、パリ、ウイーン、マドリッドブリュッセル、ニューヨーク、いろいろな美術館を見た。でも、特にルネッサンス絵画好きならば、ウフィツィ以上のところはない。濃厚な絵画の連続に、ゲップが出るほど堪能した。

何なんだろうね、イタリアルネサンス美術のこの輝き方は…?何世紀にもわたる教会の圧力下、ひそかに蓄えられてきたパワー。神とかいう抽象的な存在を、人という具体的な血肉に置き換えた絵画・彫刻。すべての芸術がいっせいに花開き、あっという間に、マニエリスムからバロックへと崩壊していった。この温度の高さ。このイタリアの地で。

ウフィツィにあったのはイタリアルネサンス絵画だけではない。レンブラントゴヤもあるにはあったが、他の圧倒的な絵画の前に霞がかかって見える。絵画好きにもかかわらず、前知識なくウフィツィを訪れて、レンブラントゴヤの前を素通りした人は多いのではないだろうか?

かって卒論の対象でもあったドイツルネサンスの傑作、当時あんなに恋焦がれた、「あの」デューラークラナッハの「アダムとイブ」の前を、なんと、このわたしは、通り過ぎようとしてしまったのだ。「地味な絵」だなと思いながら…。

もう正午を過ぎた。予約以外の入場者にも追いつかれ、美術館は喧騒に包まれようとしている。もう一巡したいところだ。が、雨もあがった。湿気を含ん空気が気持ちよい。そろそろ外に出ようか。フィレンツェは行きたい場所がいくらでもある。土産売り場を覘いてから外に。



アルノ川沿いに歩く。



ヴェッキオ橋を渡って、ピッティ宮へ向かう。あそこには「あの絵」がある。