イタリア観光旅行(アッシジ〜シエナのはずが…)

Hosanm2007-11-27



自動車の運転って、国民性を計る目安になると思う。わたしの知っている限り、最も危険かつ凶暴だったのは南米・コロンビア、特に首都ボゴタだ。信号無視、割り込みはあたりまえ。なにより、歩行者に対してまったく気を使っていない。
ちょっと違うかなあ?確かに気は使っていないが、「意識している」ことはまちがいない。

コロンビアでは、所得に較べて自動車の値段が異常に高いと、いう話はした。しかも車社会だ。家族共働きの全員の稼いだ金を集めて、やっと買った車だ。まあ〜「偉く」なってもしかたがないかもしれない。日常生活では気が弱いやつも、ハンドルを握るといきない性格が変わって粗暴になるのは、何もコロンビアに限った話ではない。夜郎自大

スペイン語もまんぞくに話せなかった頃のわたしが、どうやって手に入れたか、などという些細な問題は別として、運転免許書だって金でなんとでもなってしまう。らしい。交通法規なんて存在すら知らない可能性もある。当然、横断歩道なんてものが何のためにあるのか知らない。誰かが落書きしたんだろう程度だ。すでにペンキもはげかかっている。
加えて、もともとアグレッシブな国民なのだ。

歩行者は、疾走する車の間をひょいひょいとすり抜けていく技を覚えないと、この街では生きていけない。

左右を見渡す。左側から車がやってくる。でも歩道側を走っているから、この車がくる前に真ん中まで渡ってしまおう。と、わたしが横断しかけたのに運転手が気が付く。

おお、何と、ッッ、俺様の、この俺様が苦労して買った車の前を、あいつが、車にも乗れないような貧しいあいつが、このフェルナンド様の前を、横切っていく。でも、このまま直進すると、スピードをあげても「まんまと」通られてしまう。よし、ならば、車線を変えて、あいつの目前を通過してやろう・・・・・。

と、まあ、運転手の頭のなかではこんな葛藤が生じ(ほんとかよ?)、すべての車は「横断中の歩行者めがけて」突進してくるのだ。
本当なんだよ!フェルナンドだけじゃない、ロドリゴもフアンもパブロも、ヘスス(イエス)だってマルハ(マリア)だってアンヘラ(エンジェル)だって、名前負けしないように、みんなそうやってがんばって運転していた。

そういう世界だ。
例えば、右側の横道から車が割り込もうとしている。もちろんそんなの許さねえ。でも、相手の方が一枚上手だ。入られてしまう…。
普通、こうなったら、スピードを落として道を譲る。普通はだ。でも、ここの運転手はそんなことをすると、男も女もすたるらしい。で、どうするか?だいじょうぶだよ、自分も左の走行車線側にハンドルを切って、そこに割り込もうとすればいいのだ。割り込まれた走行車線を走っていた運転手も同じように、追越車線にハンドルを切る。こうして、あたり一帯にクラクションが響きわたるのだ。



ボゴタ市で車を運転するということは、実弾の入った銃火器を手にして、バトルロワイヤルに参加するということなのだ。「賭けているもの」は、なけなしの自尊心と自我に決まっている。・・・・・。

あ、そこの君、うそだと思ってるだろう?でも、本当なんだよ。
じゃあ、例えば、片側一車線、センターに障害物がない、郊外の道路で事故があったとしよう。もちろん、上下とも不通になる。まず彼らがやることはこうだ。歩道というか路肩に次々と後続車が進入して、あっというまに片側二車線にする。少しでも他の車の前に行こうとする、ミームの意志のままに…。
もういっぱいだ。次の一手は…そう、通行止めだから対向車線が空いている。対向車線に入って並ぶことだ。

やがて、事故現場を中心にして、道路中に車が溢れてしまう。これでは、救急車もレッカー車も通れない。1時間ですむ事故処理に倍の時間がかかってしまう。やっと事故処理が終わった…が…今度は対向車線に車がいるので、お互いに走り出せない。これをさばくのに2時間。おとなしく待っていれば1〜2時間ですむものに、倍以上の時間がかかってしまうのだ。

ラテンアメリカには「待つ」という究極の芸術があるという話はしたことがある。でも、それはコロンビアでは、少なくともボゴタ市では通用しない。ここのほとんどの連中は短気で攻撃的なのだ。

ええ〜と、何の話だったっけ?また、大幅に脱線してしまった。

ま、ともかく、ローマの運転手は乱暴で危ないといわれているが、コロンビアを知っているわたしにはそれほどとは思えなかった。むしろ歩行者の方がマナーが悪い。信号無視はあたり前田の日明さんだ。車さえこなければ、どこでもどんどん横断してしまうのは、日本以外の国の常識だ。

イタリアではどんな場所を横断していても、少なくとも、車は横断中の歩行者には向かってこない。しかも、クラクションの音をめったに聞かなかった(クラクションの量は、その国の民度を計るいい目安だと思う)。ただ、黄色信号がやたらに長いのが気になった。これには何か意味があるに違いない。

というわけで、スペースがなくなり、イタリア四日目に入れなかった。やっとローマを離れて、車でアッシジシエナという古都を周って、フィレンツェに行く予定になっている。やれやれ。