イタリア観光旅行(ローマ[I])

Hosanm2007-11-17



ローマ・テルミニ駅近くのホテルに到着。一夜熟睡。ジェットラグもなく、快適に目覚める。到着時刻を考えて、機内では漢字パズル三昧で頭を休めず、極力寝ないようにしていたおかげだ。

しかし、このテルミニという駅は迫力がある。文字通り行き止まりの「ターミナル」だ。すべての道はここに通じている。これ以上の巨大な駅を知らないわけではないが、「終着駅」としてここまで徹底されると、その整然としたたたずまいも含めて感動すらおぼえる。



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今日の最初の目的地はバチカン博物館。
今回の旅行のわたしの最大の目標は「絵画」を見ることだ。いままでもそうだった。外国の都市に短期間立ち寄るということは、絵画を見に行くということに他ならない。

「わざわざ海外まで行って絵を見なくても、日本にもいい絵画展が来るじゃないか」という意見もある。それも一理ある。でも、日本の異常な押し合い圧し合いの混雑の中で、あえて絵画を見たいとは思わない。どうせじっくり気が済むように見られないのならば、実物を見に行かなくてもよい。印刷のいい画集で十分だ。

それ以前に、外国に絵画を見に行くということは、日本では絶対に見ることができない絵画を見に行くということだ。例えばパリ・ルーブルならば、ダヴィッドの「ナポレオンの戴冠式」、縦6メートル×横9メートルを越えるサイズの壁一面を埋める絵画だ。この絵がルーブルに飾られてから外に出たことがあるだろうか?

現地に行かなければ見られない、という点では祭壇画もそうだ。ベルギーのゲントに行くということは、ファン・アイクの「神の子羊」を見に行くということ、ドイツのアルザス地方に行くということは、グリューネバルトの「イーゼンハイム祭壇画」を見に行くということだった。
壁画も天井画も。
で、今日の目的はシスティーナ礼拝堂ミケランジェロの大天井画「最後の審判」だ。

バチカン博物館は早く行って並んだほうがいいらしい。8時45分開館で、この季節は13時45分に閉館ということだった。テルミニ駅から地下鉄A線に乗って8時に到着。すでに列ができている。しかたないので並ぶ。が、そのまま10時まで列は動かない。



バチカンの壁にさえぎられて陽があたらない。けっこう寒い。ローマとはいえ11月だ。すぐ後ろに立っている、半袖シャツ一枚のアメリカ人のむき出しの腕が鳥肌たっている。しかし、不思議なことにアメリカ人観光客が半ズボンではない。
待ちながらガイドブックを読んだところ、礼拝堂に入るには服装チェックがある、ということがわかった。いかに有料の観光名所ではあっても教会なのだ。さすがの彼らも、半ズボンでは入れない場所があるということを知っているようだ。

暇ついでに自分自身をチェックしてみる。ハンカチ鼻紙も持っている。爪も切ってきた。下着もちゃんと取り替えてきたからだいじょうぶだよ。

一時間たってもぴくりとも動かない。南米生活で身につけた、「待つ」という究極の技を駆使しつつ、神の御心のままひたすら待つ。
やっと10時を過ぎて列が動き始める。開館から10時までは、団体も含めた「予約客」だけを入れ、一般の入場は10時以降だ、ということは後から知った。やれやれ、さすがは神の御業…。



やっと入場。予想通り、どこに行っても天井まで絵がぎっしり。首が疲れる。そもそもここには「天井を見にきた」んだから、ま、いいか…。
人の流れにまかせて移動していく。そろそろシスティーナ礼拝堂だ。