荻窪ラビリンス、練馬ダンジョンのことなど

石神井 蕎麦「菊谷」



何が承前だかわからないが、とにかく、いろいろ夢想し興奮しながら、昼食に極上の蕎麦をと、石神井公園『菊谷』に向かった。

はじめてのコースだから、忘れないでGPSを持って、っと。充電もOK。出発。
今日のルール。なるべくはやめに知らない道にでて、適当にかって気ままに走ろう。なるべく止まらずに走り続けよう。というもの。

環八を渡らず、そのまま北上すれば石神井公園に到着するのだが、それでは往復が同じ道になってしまう。ということで、あえて環八を越えて遠回りをする。

なるべく環八に近づき過ぎないように、適当に方向を変えながら北上。通ったことがない道ばかりで新鮮だ。が、今日は体内コンパスが多少不安定。太陽の黒点が多いのだろうか?(そんなことはないだろう)、などと思いつつ、荻窪〜下井草間に横たわる広大なラビリンスを、地上波テレビのアンテナを頼りにやっとの思いで抜け出る。

環八を南田中の分岐点で渡る。いきなり風景が一変する。ディープ練馬のダンジョンに突入したらしい。どちらも畦道をそのまま公道にしてしまったのだろう、道路のわかりにくさは世田谷ダンジョンに匹敵する。やはり今日は太陽風が吹き荒れているようだ。

あともう少しだ。感覚を研ぎ澄ませ、…、着いた。石神井公園だ。

思いのほか早く到着してしまった。石神井池の周りをのんびりクルージング。なんというか、ちょっと懐かしいような変な気分だ。ひょっとしたら、この町の住人になったかもしれないからだ。

生まれ育った浅草から引越すにあたって、石神井は有力候補だったのだ。何度か家族で見に来た。記憶が薄れてしまっているので、具体的にどの場所かは定かではないが、池に面した静かで緑豊かな土地を紹介された。両親もわたしも気に入り、ほとんど決めかけていた。

ばあちゃんが大反対した。「せっかく引越すんだから」と希望がひとつだけあった。それは「金輪際、浸水は嫌だ」ということだった。生まれながら下町育ちのばあちゃんだ。床下浸水は数限りなく、床上浸水すら数度経験している。「池のそばの低いところは嫌だ」というのだ。これには両親もなっとくし、石神井池のほとりに住むことにはならなかった。

等々、感慨にひたりながら、石神井町を散策。やっと『菊谷』に到着。

蕎麦好きの方々の推薦通り、つまみも蕎麦もすばらしい。個性的な酒の品揃えも納得。小鉢のつまみでのんびり。北海道と福井の十割2枚「利き蕎麦」をつるりといただく。おまけでちょこっと出していただいた福井(だったか?)の田舎風のしこしこ蕎麦。今度は一人前食べてみたい。

今度は夜、電車で来よう。ゆっくり飲んでみたい。なんなら、店の中に住んでしまってもいい。(めいわくだよ)…、もし、あのとき、住居を石神井公園に定めていたら、きっと日夜通ってしまっているのだろうなあ。再見。

これがそのGPSトラックだ。合計39キロ。楽しいポタリングだった。

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