蕎麦『眠庵』神田オープンタイプとクローズドタイプ


3月は昼酒昼蕎麦月間のはずだった。が、21日は野暮用というか浮世の付合い、24日は仕事(ようするにこれも渡世の義理)と、後半になってあえなく挫折。せめてその鎮魂に(おおげさな…)と、うまい蕎麦と酒を求めて夜の神田へ。『眠庵』へと。

土曜日でもこんなに混んでるんだねえ〜。かろうじてカウンターの一席におさまる。いつものつまみも蕎麦もうまかった。ごちそうさま。長居しちゃってスマン(最後になってしまったおかげで三種類食べさせてもらってうれしかったけど)。
特にあの日本酒が。ちょっと若かったが、ずっしりした味わいだった。え〜、名前は、例によって、「山廃」であること以外は忘れてしまった。最近夢中になっている娘、『菊姫(のなんちゃら)』のむすめか孫みたいだった。

以前、オタク蕎麦屋について書いた。『眠庵』はまさに、その筆頭に位置している。東京でこれに匹敵するのは、もうひとつの「N」くらいだろうか。

首都圏に、ニューウエーブと呼ばれる蕎麦屋(そのうちのいくつかがオタク蕎麦屋だ)は数ある。それらは二つに分類できると思う。オープンタイプとクローズドタイプの二種類だ。ようするに、他店の蕎麦を食べて参考にしようと思っているか、思っていないか、だ。(そんなばかな分類あるか?)

はっきり「自分のところの蕎麦以上のものは考えられない」という店主、「他店を参考にする時間を使って、自分の蕎麦打ちを追及したい」という店主も、「昔たくさん食べたから、もういいよ」という店主もいた。
旧弊な職人気質としては、良くわかる。一流の職人であれば、それくらいの思いは必要だよ。

まったく逆に、暇さえあれば食べ歩こうという店主もいる。知る限りでは、その筆頭が『眠庵』の店主かもしれない。(参考のためや勉強のためかどうかは、きいたことがないので知らない。たんにのん兵衛でくいしん坊なだけかもしれない、という強い疑惑は残る)

わたしは個人的に「食べ歩く」タイプの方が好きだ。なじみの蕎麦屋で店主も含めて「蕎麦屋談義」ができるのも、蕎麦屋通いの楽しみのひとつ、という単純な理由なのだが…。

誤解されないように伝えておきたい。クローズドな姿勢は嫌いだといっているわけではないから、だいじょうぶだよ。ようするに、つまり、なんというか…、ようするにですね、他店の蕎麦を食べ歩き参考にしようが、自らの蕎麦打ちを求道的に追及しようが、どちらでも良い、もっともっとうまい蕎麦を打ってほしいだけなのだ。蕎麦屋酒好きとしては。

眠庵の詳しい情報はココにある ⇒ つれづれ蕎麦 神田「眠庵」