週末も昼酒昼蕎麦三昧その四It's been ages,『水埜』!


朝から雨、春の嵐とはいえ、そこはそれ、やはり蕎麦日和。人に貴賎が無いように、昼酒昼蕎麦日和はあまねく平等であるべきだ。天気によって差別するようなことではいけない。(ようするに、おまえは、蕎麦屋で昼から飲みたいだけだろう。そもそも最初から論理が破綻している)ということで、今日は近場の名店を久しぶりに攻めてみた。

経堂『水埜』は好きな蕎麦屋のひとつ。若い(わたしからみればね)のに、頑固そうなご主人が、「江戸前」をモットーに、洋風の味付けを加えて、切りまわしている。特に昼のみ案内してくれるカウンターの、その奥の席が、昼酒まったりスポットとしては貴重品だ。以前は、毎週とはいわないが、けっこう行っていた。



そろそろ春なので(というには今日は寒いが、まあまあ、とりあえず)、冬季限定の「あの」メニューがなくなっているだろうと考えながら。ほんとうに久しぶりの『水埜』だ。

もし、まだ「あれ」があったらどうしよう…。沿線のどこかで箱根蕎麦でも食べて帰るか…、と思いながら…も、あ、どうやら終っていそうだ、と、入店。

定番「ほろ酔い膳」を。板わさと東京の地酒「丸真正宗」を選ぶ。

最近、濃厚な酒を飲み慣れてしまっている。やれ純米だ、吟醸だ、黒麹、山廃だ、無濾過だの、等々の順列組み合わせで、覚えるのも大変な日本酒が多くて、しかもおいしいので、とても困っている(覚えられないから文句を言っているだけだ)。
が、昔の「○級酒」という潔い時代の酒の味がする「丸真」も好きだ(おまえは要するに酒ならいいんだろう!という声は無視しておいて)。

「ほろ酔い膳」定番のそば焼き味噌がおいしい。「嬉長」を追加で。これが適度なフルーティさで良いんだよね。

『水埜』の蕎麦は江戸前の二八、小股の切れ上がった、粋なご新造さん作りの細切り(どんなんだか?)だが、土日限定の粗挽き十割もいける。二八の喉越しの良さとは、まったく違った、噛みしめたときの穀物のかおり豊かな蕎麦だ。
今日は久しぶりなので粗挽き十割を。
うまい。薬味も上々で、三種類揃えられているのもうれしい。蕎麦湯の楽しみが増える。

やれやれ、やっぱりうまいじゃないか。
しかも『水埜』はコストパフォーマンスもすばらしい。「ほろ酔い膳」は、(お通し)+(そば焼き味噌)+(板わさ/そば豆腐/わさび芋)+(ビール/日本酒)+(蕎麦)、で1,800円。このクオリティで、これだけでも安いのに、日本酒を一合以上頼むと、さらに全体から一割引いてくれたりするのだ。

そんなに好きなのに、なんでしばらくぶりなのか…って?「あれ」が嫌だったからだ。

この冬から、冬季限定の本鴨カレー南蛮を始めた。これが実にうまそうなのだよ。たぶん自分が食べればね。

かき回して混ぜないように、そっと食べていく。やがて、混沌とまじりあっていく汁とカレー。その按配が宇宙のカオス状態を彷彿とさせる。この味のミクロコスモス(ほんとかよ?)は、ああッ、はるか天空の運行を想起させながら・・・、と、カレー南蛮、大好きなのだ。

これが、蕎麦屋独特のうどん粉まじりのカレーならば良い。しかし『水埜』では、いわゆる蕎麦屋のカレーのレベルではなく、南インド風のスパイシーな本格的カレーなのだ。
カウンターのすぐ隣で、ハフッハフゥ〜、ズルズル(これは鼻水をすする音ね)と食べられたら、かなり苦しい。あまりのにおい(香のレベルじゃないからね)の強さに、どこ産の蕎麦粉を何割でどのメッシュでどう挽いて、とかどうでも良くなってしまう。頼むから、カレーだけはやめてタバコでもなんでも喫ってくれや、といいたくなってしまう。

・・・というわけで、自己防衛のために、冬が終るのを待っていたわけだ。

また次の冬も、「冬季限定」のカレー南蛮をやるのだろうか?でもだいじょうぶだよ。この店は、「春夏秋限定」の定席として、あり続けてくれるのだ。

水埜の詳しい情報はココにあるよ ⇒ つれづれ蕎麦 経堂「水埜」」
店の公式WEBページはコレ ⇒ 手打蕎麦「水埜」

昼酒昼蕎麦三昧の4日間。最後の昼をこの店でしめられてよかった。
次の連休はゴールデンウィークか。たっぷり時間もありそうだから、自転車で「下町蕎麦屋めぐり」をしてみようかなア。