プラシーボ効果

ニセ科学を10倍楽しむ本 山本弘



トンデモ・サイエンス大好きだ。超古代文明とか陰謀論とか心霊体験とかアブダクションとか大予言とか、まさにわたし好みの「センス・オブ・ワンダー」なのだ。「暇つぶしに絶好」という筋の人もいるが、否定はしない。そもそも、そんな本を読んでも役に立つわけじゃなし、実際、暇つぶしに読んでいるからだ。
トンデモ本の世界』と学会 (著)を読んで、まな板に載せられた本のほとんどが既読で、自分自身に呆れたこともある。

その「と学会」会長の山本弘が絶好調でニセ科学を斬りまくる痛快な一冊がある。
ニセ科学を10倍楽しむ本』だ。

  • 第1章 水は字が読める?
  • 第2章 ゲームをやりすぎると「ゲーム脳」になる?
  • 第3章 有害食品、買ってはいけない
  • 第4章 血液型で性格がわかる?
  • 第5章 動物や雲が地震を予知する?
  • 第6章 2012年、地球は滅亡する?
  • 第7章 アポロは月に行っていない?
  • 第8章 こんなにあるぞ、ニセ科学
  • エピローグ 疑う心を大切に

どう?目次を見ただけで、心がときめくでしょう!
おもしろいよ。暇人には絶対にお勧めする。

トンデモ・サイエンス、疑似科学、といえばこんな本を読んだ。サイモン・シン著『代替医療のトリック』だ。
サイモン・シンの新作といえば読まずにいられない。でも、今回のはちょっと微妙だ。

ホメオパシー、鍼、カイロプラクティック、ハーブ療法、アロマセラピー、イヤーキャンドル、オステオパシー、結腸洗浄、指圧、スピリチュアル・ヒーリング、デトックス、伝統中国医学ヒル療法、マグネットセラピー、マッサージ療法、瞑想、リフレクソロジー等々を、《科学的根拠にもとづく医療:エビデンス=ベースド・メディシン》という観測点から考察したものだ。

「…等々を」と書いたけれど、取り上げれれている代替医療自体が玉石混交だ。なかには明らかにいかがわしいものあるし、伝統医療行為として西洋医学界からも認められつつあるものもある。
出版後、各代替医療関係者から、効果があるのにメカニズムが未解明であるために斬り捨てられている」との批判の声が数多く寄せられているようだ。

代替医療って難しい問題だ。はっきりした効果を自分の眼で確かめたこともあるので、個人的には一概に否定できない。それに、そもそもわたしは宗教と科学の区別すらつけられないのだ。(どちらも基本いいかげん、と強く言ってるわけではないので誤解のないように)

代替医療のトリック』では、はっきり批判している代替医療が多いが、微妙な表現がされている箇所も多い。科学的に説明できなくても実際に効く事も多々あるからだ。ま、説明できない部分は「プラシーボ」で片付けられているんだけど…。

プラシーボを馬鹿にしてはいけない。こんな例もある。

グーグル時代の情報整理術』なんて本も読んでしまった。
著者 ダグラス・C. メリルは、グーグル社の元最高情報責任者(CIO)だ。その元CIOが"秘伝"の情報整理術を教えてくれるというものだ。内容はなんてことない整理のノウハウでとくに目新しさもないし、ツールといえばGmailの使い方の紹介だったりする。それもちょっとしたユーザならばみんな知っているようなテクニックなのだ。なのに、書評やカスタマーレビューなどを読むとやけに評価が高い。おいおい、この本がかい?…。

これなんか典型的なプラシーボ効果ってものではないだろうか。だいじょうぶだよ、ようはそれで効けばいいのだ。肩書きに惑わされて買って読んでしまったことを後悔しないために、「よかった」と自分自身をだましてみればいいのだ。

わたしは、それに引っかかって時間と金を無駄にした口なんだけど・・・。



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