天山南路から天山北路に引越しをする

シルクロードは今日も晴れだった



仕事場が千代田区の不便な場所にある話は以前書いたことがある。千代田区チベットと言いたいところだが、むしろタクラマカン砂漠と称した方がいい場所だ。チベットは観光でにぎわうことはあってもタクラマカン砂漠に行く人は極少数派だからだ。それくらい地の果てにあった。

「あった」と過去形で書いたのは、数週間前にオフィスの引越しをしたからだ。やっとこれでタクラマカン砂漠から脱出できるかと思えば、♬世の中そんなにアマンダじゃないから人生コロンブス♬なのだった。Super過疎地「天山南路」から移った先は、Ultimate過疎地「天山北路」のど真ん中だったのだ。
天山南路には、それでも、トルファンカシュガル間1,500キロの「南疆鉄道」が走っているが、天山北路にはいまだに一部区間の鉄道すらない。

天山北路(九段南ともいう)の人口密度は天山南路(三番町ともいう)よりさらに低く、弁当を買える店さえない。そんなわけで、ますます昼食難民度が高くなってしまったのだ。

ま、わたしは"打ち合わせ"とか称して昼をまたいで外出してしまえばいい。内勤スタッフは大変だろうな…、と草葉の陰から心配してやっていたところ、どこにでも救いはあるものだ、ちょっとお向かいの大学の学食が出入りフリーらしいじゃないか。

夏休み中でも開いているとのことで、さっそく行ってみた。なんと、決して狭くはない学食はオヤジばかりだ。そこは、天山北路に閉じ込められた難民たちのオアシスというか餌場と化していたのだ。

"とりあえず"の味噌汁が付いた日替わり定食が500円。ま、こんなものだろう。結構量のある"シンプル"な炒飯が300円。キャベツとモヤシ中心の"ヘルシー"なカタヤキあんかけヤキソバが350円。サイドメニュー代わりに、小牛丼250円、オムスビや稲荷寿司100円なんてのもある。これじゃあ、昼飯どきの弁当屋台もやって来ないね。

もちろん各種ラーメン類もある。当然うどんと蕎麦もだ。この蕎麦がす・ご・い。食べても食べても減らない。
内臓にやさしくするためかとても軟らかく茹で上がっているのだ。食べているうちにどんどん汁をすって膨らんでくる。

うっかり天麩羅蕎麦の大盛りを頼んでしまってしまったのだ。
蕎麦ならば何でもOKの受容的なわたし。たいていの立ち蕎麦だって平気。数ある立ち蕎麦チェーン店中最悪と噂される某『あ△さ▽』でさえおいしく最後までいただいてしまうわたし。…でもこの学食のかき揚げ蕎麦はちょっと持て余してしまった。

自身の名誉のために付け加えておく。もちろん汁も含めて完食した。でも、とちゅうで汁だけを飲んだ記憶がないのに、蕎麦とかき揚げを食べ終わったら汁が残っていなかった。早食いには自信があったのだが…。
でもだいじょうぶだよ、ほうれん草やワカメも入って、蕎麦以外が悪くなかった。まったく懲りるということを知らない性格。次はかき揚げうどん350円也を食べてみよう、っと。そんなこんなで、天山北路生活を楽しんでいる。

話はまた唐突に変わる。
やってみたいことが二つある。
四駆にMTBを積んで南アメリカを縦断してみたい。コロンビア・ボゴタ市からマゼラン海峡の町プンタアレナスまで行ったことはあるけど、時間が足りず、ひたすらパンパシフィック・ハイウェイを走っていただけだ。途中であっちこっちにのんびり宿泊してMTBで町近郊をポタリングするのだ。
もう一つは、やはり四駆+MTBでのシルクロード行きだ。そうなると、MTBも全輪駆動でなければ砂漠は走れないだろう。

2WDの自転車に興味津々だったのだが、なぜかもう販売していないみたいだ。
たぶんこの構造だと、むき出しの駆動部分に身体や服がはさまったりしてケガが絶えなかったのではないだろうか。

誰か、改良版を作ってくれないかなあ。できれば重さは15キロまで、値段は10万円まで、で。いつの日か本物のタクラマカン砂漠を走るために。



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