つけ蕎麦三昧の日々

枝豆だれせいろ、後で夏の吟醸も食べた



そんなわけで、「冷し」にはいろいろな個人的な問題と葛藤があって、そう簡単にはオーダーできない。

でも、だいじょうぶだよ。それならばこれはどうだ!という蕎麦屋メニューがある。「つけ蕎麦」だ。最近、つけ蕎麦がメインの店が増えてきた。「つけ麺」がはやっているせいだろうか?

で、まあ、この際だからと、根性すえて、こんな店に行ってみたのだ。

虎ノ門 『港屋』
つけ蕎麦 池袋 『玄八』
つけ蕎麦 高田馬場 『安土』

どの店も共通点がある。太めの田舎蕎麦である。外装も内装も明るく清潔で小奇麗。それと、量が多いということだ。『安土』の場合は、同じ値段で、並(200g)・大盛(280g)・大大(380g)が選べてしまうほどだ。
"つけ麺"というところで、元祖『大勝軒』のスタンスを踏襲しまうのだろうか?むしろ、この手の店の常連になる客の頭が大勝軒で、普通の蕎麦屋の量では客が呼べないのだろうか。

「もう若くないから、ラーメンばかり食べてちゃあネ」客がターゲットなのかもしれない。アメリカで最初に寿司が流行ったころ、寿司好きと自認するニューヨーカーが、寿司はダイエットフードだから身体にいいと言いながら、トロやハマチやアボカド巻きを中心に握り30個ほど食べていたのを思い出す。あの感じか?そうそう忘れちゃいけない、どの店も生卵と揚げ玉は取り放題なのだ。
で、味は…。

ジャンク好きのわたしには特に違和感がない。変な定食屋やラーメン屋に入るなら、ここの方がいい、と、まんまと店の術中にはまっている、のだ。
でも、『港屋』は混み過ぎ。立ち食いだから贅沢言っちゃいけない。『玄八』は問題をかかえている。つけ汁がとても椎茸くさい。それに…とてもとても極めて重大な欠陥なのだが…立ち食いでもない分際でアルコール飲料を置いていない!のだ。

蕎麦が好きなら、『安土』はなかなかいいのではないだろうか。軽くつまんでサクッと飲んで、この値段でこのクオリティの蕎麦をこの量食べられるのはうれしい。蕎麦自体も悪くないのだ。ま、蕎麦ヲタに強く奨めるわけじゃないけど、あの店がまた臨時休業だったり、あっちの店の量が少なくて物足りなかったして、近くに行って困ったらちょっと寄ってみておくれ。

そんなこんなで、つけ蕎麦三昧も悪いものじゃない。というか、つけ蕎麦そのものは、"普通"の蕎麦屋でも定番メニューだ。

鴨汁、牡蠣汁、鳥と卵の親子丼汁、カレー、どれも蕎麦に合う。ゴマだれ、クルミだれ、なんてものある。最近、こんなのも見つけた。「枝豆だれ」だ。
枝豆なんて超ゲテな味じゃないのかと思うよね。でもこれがとてもうまい。何のことはない「クルミだれ」のそのまんま枝豆バージョンなのだが、枝豆でやってみようと思ったところに脱帽。しかもそれを手挽き十割で食べさせるのだ。かなりやられてしまった。

そもそもの、"ふつう"のもりだけでも満足できているこの店に、この手の変わりメニューを出されると困ってしまう。また、アレもコレもソッチもコッチもいっぺんに食べたい病が再発してしまうのだ。久々にメンバーを集めて、「網羅プロジェクト」を発動してみようか…。野望は尽きない。



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