TRANQUILO号、府中『たか志』に初顔見世

たか志 鴨ロースつけめん



DAHONの折りたたみ自転車「TRANQUILO号」がやって来てから一ヵ月。まだあんまり乗っていない。とりあえず慣らし運転で常連の蕎麦屋を回った程度だ。っと、まだあそこ行ってなかったねえ。春の吟醸を食べてないや、と。
咲き始めの桜見物がてら小金井方面に向かう。もちろん昼蕎麦は府中『たか志』だ。

走りなれたいつものコースだが、TRANQUILO号ははじめて。出発〜(仙川)〜井の頭公園〜(玉川上水)〜小金井公園〜"たか志"〜多磨霊園〜武蔵野公園〜(野川)〜帰宅。桜の見所満載のコースだ。
この寒さにほとんどはつぼみのまま。せいぜい三分咲き。五分咲きが忘れたころにちらほら。

やっと陽も出たころ『たか志』に到着。席について、顔を見せるとおばさんが
「おこげ?」
「はい。お願いします」といつものパターン。

さて蕎麦に、と壁の貼り紙を見る。
 春は凛
 夏の黒吟
 秋ほのか
 冬の古吟に
 二色で大吟
と三十一文字に詠われるよう、三月〜五月末は春の吟醸蕎麦「凛」だ。今日はこれを食べにきた。
と、置かれたメニューがなにやら「こっちもご覧よ」と呼びかけている。おおッ新メニューだ。


「鴨ロースつけめん」だってェ…和風味と胡桃味があるんだってェ…。しかも弱い一言"季節もの"。
なぜこの季節に鴨ロースでしかも冷たいつけつゆなのかはわからないが、次に来るとないかもしれないという強迫観念に襲われる。迷わずオーダー。最初だから正攻法で和風味を。

鴨ロースがぜいたくにも八枚。まず一枚そのまま食べてみる。ちょっと甘めの出し汁で調理してある。旨い。これで飲める。
せいろを鼻まで持ち上げ匂いをクンクンかぐ。いい、いい。蕎麦を汁なしで手繰る。旨い。吟醸ではないけれど相変わらずの高め安定クオリティ。これだけでも飲める。
鴨ロースを汁につけて食べてみる。鴨のほんわか甘みと濃い汁とがよくあっている。旨い。こりゃやばい。
余韻を楽しみながら蕎麦の先っぽを汁につけて食べる。旨い。これで二合目までいけるだろう。

そんなこんなで、残った鴨ロースと薬味を全部投入。つけ鴨せいろ状態でわしわし最後まで食べる。おいしく完食。つけ鴨の胡桃味ってどんなんだろう?

帰り際にお主人から声をかけられる。
「あの折りたたみ自転車…ですよね。よく走りますか? 時々折りたたみ自転車に抜かれるんですよね…」
「そうそう。とってもよく走って、いつも乗ってくるMTBよりも速いですよ」

満足してのんびり野川沿いを帰る。
ぽかぽか陽気の時に計画してしまったのだろうか、桜のつぼみの下、青いビニールシートの花見宴会がちらほら。でもだいじょうぶだよ。気の置けない仲間が集まって、持ち寄ったつまみと弁当で一杯やれれば、寒くたって桜が坊主だって、それもまた至福の時間。

肉の焼けるいい匂いが流れてくる。



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