某月某日の予定

DAHON Speed Pro TT



四年ほど前から自転車乗りが趣味になった。わたしの場合、自転車はスポーツではない。もちろん通勤の手段でもないし、お買い物用でもない。"散歩"のためのツールなのだ。いわゆるポタリングだ。

といっても、最近、飽きてきた。だって、自宅の近所は走りつくしてしまったのだ。

のんびり漕いでも徒歩の4〜5倍のスピードで移動できると、いっても途中の休憩も含めると(蕎麦屋でのまったり昼食も含む)、がんばってもせいぜい一日100キロあたりが限界だ。時速20キロでポタリングをしていて100キロ走るということは五時間走っているということだ。

さらにわたしの場合はサイクリングロードが嫌いだ。何を勘違いしているのか自転車でスポーツをしようとしているアンちゃんたちが走っているからだ。で、街中の裏道を走ることが多い。しかし街中には信号もあるし、なぜか白昼堂々悪びれることなく、自動車がわたしの邪魔をするために走っている。だから一日の平均速度は15キロ程度だ。100キロ走るには七時間ほど走ることになる。昼食と休憩時間も入れると九時間を越える…。これは一種の労働行為だよ!

休日の趣味なのに、少しでも労働行為を類推させるものは許してほしい。そもそも、"がんばる"ことが目的ではない。スポーツでも、まして競技ではないからだ。それに、「苦難を乗り越えて歓喜に至る」というきわめて日本的マゾ世界にはまったく無縁な性格をしているのだ。

週末の一日に走る適当な距離は、最大50キロあたりが適当だろうと思う。直線で行って帰って来て片道25キロ。でも、それもヤだよね。小学生のお使いじゃあるまいし、目的地に一直線に行ってそのまま帰ってくるなんてありえない。趣味は"ポタリング"なのだ。気ままにのんびり知らない道を走ることなのだ。往復で違った道を走りたい。できればぐるりと地域を囲いたい

ということは、一日のポタリングでの到達点を直線にすると、せいぜい半径10キロ強なのだ。わたしの出発エリアからでは、東で新宿・渋谷・目黒、西に向かうと小金井・府中、北上すると石神井公園、南下するとあざみ野・元住吉あたりまでなのだ。

地図上で見るとそこそこの範囲だが、実際に走ってみるとたいしたことない。実はかなり狭いエリアなのだ。しかも、実際には、道中が楽しくなくて行きたくないエリアも多い。
数年走っていると、同じ決まりきったコースに飽きてしまうのだ。

でもだいじょうぶだよ。決めたのだ。折りたたみ自転車ってやつを買おう、と。輪行ってやつをするためだ。

  • 例えば某月某日、ひたすら東に向かって走り出す。もう50〜60キロは走っただろうか。もうすぐ千葉市だ。帰り?帰りは自転車を折りたたんで総武線で居眠りをして帰る。
  • 例えば某月某日、のんびり山手線一周をする。通いなれて退屈な山手線までの往復は電車を使う。
  • 例えば某月某日、東武東上線幸手あたりに現れ、江戸川を下って、我孫子から千代田線直通で帰る。
  • 例えばだ、某月某日、ポタリングで一汗かいた後に蕎麦屋に入る。うまそうなつまみと日本酒が揃っている。思い切り飲んで、たたんだ自転車を持って電車で帰ればいいのだ…。それが折りたたみ自転車を買った本当の理由、で、は、な、い。

というわけで、衝動買いしてしまったのだ。折りたたみ自転車を。
が、だからどうだというわけではない。これからポタリングの話が多くなると思ってくれたまえ。はははッ!君の負けだよ明智君。というだけのことだ。



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