恋の山手線ポタ(中年蹉跌編)
突然閃いた。山手線に沿って一周してみよう。歌でも口ずさにながら。今日は「青い山脈」ではない。
とりあえず出発した。
いつものコースを新宿まで行き外回り線路に沿って一周しようと南下するも自転車禁止だよ押して行ってもダメだよと警備員に追いすがられ早くもサザンテラスで挫折しつつだいじょうぶだよと気を取り直して馬券売り場の人ごみをすり抜けそれぞれの街の景観を楽しみつつ代々木から原宿渋谷恵比寿と進み目黒を望むも本日のポタにふと疑問が湧き立ち止まることしばし。
山手線一周。
描いてみたかった。
ぐるりと一周の円。
多少いびつでもいい。
自転車で図形を描くのって難しい。
何度も円と五芒星に挑戦した。
そのつど敗退。
でも今度こそ。
山手線というガイドがある。
その途中でだ。
違った楽しみも見つけてしまった。
交通の便の悪いところ。
自動車では行きにくいところ。
普段行かないところ。
そんな場所のポタは楽しい。
反対に普段見慣れた繁華街をポタする。
それも楽しいものだ。
ちょっと高いサドル越しの目線。
違った風景が見える。
気になっていた角を曲がってみる。
わざと遠回りしてみる。
仕事で訪問するビルの裏側も。
混雑する所では押して行けばいい。
新宿までの往復が30km弱。
山手線をぐるりと回ると40km強か。
合計70km。
今日は6時までに戻ればいい。
楽勝だ。
でもせっかくぐるりと回るのだ。
29駅ある。
どうせなら駅近辺をもっと見て回ろう。
とすると今日一日では足りない。
明日は他の用事もある。
んな訳で気が変わった。
今日は中止。
挫折ではない。
計画変更だ。
とりあえず五反田まで行こう。
それから目黒川を戻ろう。
たぶんあの店であれが始まっているだろう。
ちょうどいい時間じゃないか…。
牡蠣せいろが食べたくて中止したわけではない。
念のため。
中目黒より駒沢通りを左折し走るとGIOSロードのオネエちゃん二人組にあっさり抜かれた上り坂を過ぎたところの祐天寺で時間調整しつつ東急高架の手前を左折してしばし走りちょうど暖簾を出しているところに入店し手顔を洗ってメニューを見るとあるアル有るひときわ輝く★牡☆蠣★せ☆い★ろ☆の文字の下のコメントは酒のつまみにもなるとかなんとかだが今日は自転車ゆえに抜きは頼まず蕎麦大盛りで所望する間も一刻の憩を求めて陸続と訪う善男善女によりはや満席の賑い。
本季節39個目となる大ぶり四個の牡蠣に濃い目の出汁の癖になりそうなおいしさに舌なめずりしつつの帰路はのんびりと駒沢用賀を通過して流しながら途中"唯黒"で買い物もすませ雲が覆いかけた空に追われるように帰宅早々の入浴中飲酒の後の昼寝から家人の呼び声で目覚めるや夕食になだれこむていたらくにあきれたか名月も分厚く覆われた雲に隠れ♪♪今日も一日が過ぎてゆく…♪♪
のであった。