サイモン&ガーファンクル セントラルパーク・コンサート
「Google Chrome」という新しいブラウザがリリースされた。一応だけど、IT業界と棺桶に片足づつを突っ込んでいる身なので使ってみた。マイクロソフトというか「Internet Explorer」嫌いとしては、悪貨を駆逐してくれる可能性のあるものならば何でも大歓迎なのだ。
使ってみて確かに、特にJavaScriptの処理が速い。Ajaxを使ったWEBページが増えてきた現状、処理速度の遅いIEではGoogleは困るのだ。スピードが遅いということは、Googleの主要財源である「AdWords」の表示される回数が少ないということだからだ。
でも今、Firefox3.0の登場により、JavaScriptの処理速度の問題は解決されたも同然だ。しかもシェアの点でも、FirefoxはIEの牙城に迫ろうとしている。
そんなとき、Googleはなぜ、どんな戦略のもとに独自ブラウザの公開に踏み切ったのだろうか? きっとターゲットは…とか書きはじめると、今日はITの話かなんて思う人もいるだろう。でもだいじょうぶだよ、今日も違う。そもそもそんな難しい話は柄じゃないから。
で、ようするにだ、GoogleChromeをインストールして機能を試しながら、思わず口ずさんでいたのだ。それだけの話だ。
KodaChrome
They give us those nice bright colors
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Mama don't take my KodaChrome away
『KodaChrome』なんて、ポール・サイモンの曲があったことを思い出した。「セントラルパーク・コンサート」でアート・ガーファンクルと二人で気持ち良さそうに歌っていたなあ、と思い出した。
久しぶりにDVDを引っ張り出してきた。1981年の一夜だけの再結成コンサートだ。
解散後、それぞれ数枚のアルバムを発表した後のスペシャルコンサートだ。もともとライブ映像が極端に少ないのに加えて、初の「サイモン プラス ガーファンクル」の、1980年までのベストアルバムということになる。
『ミセスロビンソン』から始まる。へえ〜、何でこの曲からと思うものの、最初にバンドのウォームアップには適当な曲なのだろう。
『早く家に帰りたい』『アメリカ』と続く。憎い選曲だ。個人的には『アメリカ』で完全に掴まれてしまう。
最初はノリが悪く、引っ張り出された感の強かったガーファンクルが徐々に乗ってくる。
そして、今回お目当ての『僕のコダクローム』に続いた『明日に架ける橋』がすばらしい。あえて凝った編曲もサイモンのハーモニーもない。ピアノの伴奏でガーファンクルが完全にソロで歌う。まるで賛美歌だ。この難しい曲をこれほどシンプルに美しくかつドラマチックに歌える歌手は他にはいないだろう。
コンサートは『ボクサー』で終わる。でもこれで許してはもらえない。だって、まだあの曲が残っているんだもの。アンコール曲の伴奏はサイモンのギターだけだ。デビューアルバム「水曜の朝、午前3時」を思い出させる。最後の『サウンド・オブ・サイレンス』はシングル用に厚化粧される前の、1964年のアルバムのテイストだ。
しかし、なんて「ゆるい」コンサートなんだろう。二人とも気負いの欠片もない。ライブに特有の、不自然な「共感の強要」がないのが好ましい。それに「汗」の匂いがまったくしないのだ。彼らだからこそなのだろう。だって、サイモン&ガーファンクルは「One and Only」なんだもの。比較しようがないのだ。誰と勝負する必要もないのだ。ただそこに在るがままに在ることで美しいのだ。
誰がカバーしようとオリジナルを越えられない曲がある。ポール・サイモンの書く曲、そしてサイモンとガーファンクルの歌がその典型だ。おそらくそれ故に、この「ゆるさ」が際立つのだろう。