代田橋『まるやま』にて、プロジェクト"X"第四回「種物三昧の夜」(いきなり"下げ")

代田橋 手打蕎麦「まるやま」



「プロジェクトばってん」第四回目。完了。死に際に「もっと食べときゃよかった」と無様な後悔をしないように。早いうちに楽になっておこうよ、というプロジェクトだ。

当日、代田橋『まるやま』(旧長寿庵)にて饗されたのはこんなメニュー。

‐あて‐

 三点盛(蕗の煮付け、卵焼き、こごみの胡麻マヨネーズ和え)
 筍のきんぴら
 蕎麦がきのさつま揚げ風
 筍の酢味噌がけ
 漬物
 大根と豚の角煮
 焼き味噌
 天ぷら(海老、帆立、こしあぶら、プチトマト)
 フルーツトマト
 デザート(メロン、アメリカンチェリー)

‐蕎麦‐

 当日粗引き
 2日目熟成田舎粗引き
 3日目熟成粗引き
 ぶっかけしゃきとろそば
 紫蘇切り
 ぶっかけ・辛味おろし
 ぶっかけ・海老おろし

あらためて一覧する。すごいメニューだ。しかもそれぞれが手加減のない量と味だった。お腹いっぱい。できれば下向きたくないほど。それまでに自転車で走った50キロ分の消費カロリーを、簡単に凌駕してしまったはずだ。

これだけ食べたんだから「末期はだいじょぶ」かというと、依然として楽になっていない。
これでもまだだめなのだ。なんという業の深さ。わかったことが一つだけある。ことわたしに関しては、食に関する野望は尽きないのだ、ということだ。

こんなに食べても、翌朝、本来ならば大いなる眠りのはずなのに、普通に目覚めてしまうのだ。「ああ、お腹がすいた」と。

「悲來乎、悲來乎(悲しいかな、悲しいかな)」と、李白の心境。
あんなにたくさん、おいしいいものを食べても、またお腹がすいてしまうのだ。

「喜來乎、喜來乎(うれしいかな、うれしいかな)」、あんなにおいしい蕎麦をたくさん食べても、ちゃんとお腹がすくから、また翌日も蕎麦が食べられるのだ。
天気も良い、ではまた昼蕎麦がてらポタリングしよう。と。さっそく、自転車で蕎麦屋に。今日もうまい蕎麦を食べるに従って、昨日のおいしさを反芻する…。勝手な理由だ。
酒も同じだ。昨日あんなに飲んだのに。また、今も飲んでいる。昨日のおいしかった酒を思い出しながら。

で、考えているのだ。第五回目はどうしようか。どこで、蕎麦屋酒をしようか…、と。業の深さは計りしれない。野望は果てしない。

こりゃ、まちがいなく病気だね。でも、だいじょうぶだよ。李白は、
「悲來乎、悲來乎」と始めた『悲歌行』の最後にこう詠っているのだ。
「且須一盡杯中酒(だからア、飲めるときにイ、飲んでエ、楽しんでおこうジャン!)」と。