猫足 ⇒ ブロック ⇒ スリック

シエロのハンドルを短くしてもらう



自転車は「タイヤ」だ。

乗るのが好きなだけでまったく素人だから、自信を持って言い切ってしまえる。タイヤのサイズ、太さ、トレッドパターンで自転車の楽しみ方が決まってしまう。

4年前、医者に威され、体調管理と運動のために自転車に乗ることにした。経験者に相談。「白い LOUIS GARNEAU なんてどう!」とのご神託をいただいた。予算だけ決めて自転車屋に直行。「白いルイガノください」

用途目的を話すと、ちょうどぴったりの白いやつがあった。それが最初のMTB「ビエントブランコ」だ。付いていたタイヤが、セミスリックとか猫足とかいわれるやつだった。街乗りを意識したMTBによくあるタイプ、中央部がスリックで、両端がブロックのやつだ。

休日に2時間くらい乗るようにと、医者には言われていた。ひさしぶりの自転車。ちょっと高い位置から街を眺めつつぶらぶら流していると、すぐ2時間くらいたつ。しかし、とろとろ走っていると、あまり運動したような気分になれない。最低走行距離を決めることにした。

あくまでも目的はポタリングだ。平均時速15キロあたりが、適度に気持ちよく疲れ、しかも達成感があるようだ。で、2時間以上30キロ以上を基準にした。
はじめたのが夏だったこともあり、体力が落ちていた身体にはかなりハードなペースだった。

そのうち、身体も慣れ、その分、距離が延びていった。普通に50キロ走れるようになり、羽村堰までの往復100キロまでもこなせるようになった。もう、30 キロ程度では物足りなくなってしまったのだ。これはこれで問題だ。自転車に乗っている時間がどんどん永くなってしまったからだ。休日に他のことができなくなってしまう。

合計5,000キロ程走ったちょうどその頃、タイヤの交換時期がきた。
もともと、アスファルトよりもダート好きだ。スポーツカーには興味がなかったが、機会があれば四駆に乗っていた。
ちょうど良い機会だ。身体への負荷を高くしようと、ブロックタイヤに履き替えた。

これは「効いた」。いきなり負荷が高くなったのだ。体感ではプラス30%だろうか。漕ぎ出しが重い。走らない。なにより転がらない。惰性で進んでくれないので、いつも漕いでいないとたちまち失速してしまう。こうして、また2時間30キロのペースに戻っていった。
そういえば自動車でも同じだった。ダート用のタイヤに替えると燃費が三割程度悪くなったものだ。

しかし、今度の「シエロアスール」ことTREK嬢は、MTBとしては心持ち細めのスリックタイヤを履いているのだ。猫足タイヤをはるかに超える走行性を持っている。遠距離走行や峠越えを目的としていないわたしとしては、ダートでの操作性の悪いロングボディーやオートマの四駆みたいで、なんとも座り心地が悪く、落ち着かないのだ。

はやくブロックに替えてやろうと思いつつも、せっかく使えるのにもったいない。でも、だいじょうぶだよ。長すぎて持て余していたハンドルも短くしていただいて、格段に操縦性もあがったことだし、走りの楽なスリックタイヤのうちに、せめて、ブロックタイヤでは行きたくないような長距離を走ってしまおうか。
幸い連休だ。天気もよさそうだ。とりあえず、羽村堰までの100キロのGPSログを取っておきに行こう。