狛江『志美津や』にて熟成蕎麦バトルロワイヤル(II)

本日貸切 狛江「志美津や」



通常、蕎麦好きの集まりといっても、せいぜい、たっぷりの蕎麦前を楽しんで最後の〆に蕎麦を手繰るというパターンが多い。ようするに蕎麦好きが集まって、蕎麦を口実に一杯やる宴会にすぎない。
「蕎麦会」と呼ばれる蕎麦オタクの集まりでは、蕎麦三昧のこともある。例えば、神田『眠庵』の蕎麦会だが、今回の集まりとは趣旨が違う。『眠庵』蕎麦会は、産地と収穫年の違う蕎麦を食べ較べて楽しむ会なのだ。

ところが、今回の「『志美津や』熟成蕎麦バトルロワイヤル」の最大の特徴は、産地の違いではなく、挽き方と保存方法の違いを楽しむ会だったということだ。こんな形でこんなに蕎麦の食べ較べをした集まりは、自信も持って言う、"史上初"だと思う。

まだ陽の残る午後五時前。狛江『志美津や』。ご店主の愛車「赤いたぬき号」と挨拶がてら記念写真。貸切の文字が見目麗しい。好き者どもが、それぞれの方法で三々五々と到着。

当日の品書きはこんなかんじだ。

  1. 粗挽一日目
  2. 粗挽三日目
  3. 粗挽五日目
  4. さらしな生一本
  5. 田舎
  6. 十割
  7. 玄挽(手挽)50%+抜そばの微粉50%五日目
  8. 玄挽(機械挽)50%+抜そばの微粉50%五日目
  9. 玄挽(機械挽)95%+割り粉5%三日目
  10. イタリアのもりうどん

蕎麦好きでも、引いちゃう常識人が多いかもしれない。世間で言われる「三たて蕎麦」の常識から大きく外れて、「×日目」なんだよ。

「三日目が中途半端だよね」
「五日目が最高」
「まだ、だいじょうぶだよ」
「六日過ぎるとちょっとやばいかもね」
「これはア△モOド? アOモ×ア?」

なんて、怖い会話がさりげなくされてしまう。
でもね、声を大にして言いたい。手打蕎麦界には、熟成蕎麦というジャンルが着々と根をおろし始めているのだ。
「熟成蕎麦」を"密かに"追及している店は幾つかある。狛江『志美津や』のご店主もそのひとりだ。というか、その中でも最もアグレッシブに追求しているかもしれない。

というわけで、渡りに船とばかりに、今回『志美津や』さんにご協力いただき、やっと企画が実現されたのだ。いやいや、ご店主、ありがとうございました。堪能させていただきました。

異端をいとわない蕎麦好きならば、ぜひ一度お試しあれ。でも、ちょうど良い塩梅の店主お勧めがないときもあるし、裏メニューだから、黙ってると出ないよ。

さて、次の企画は、また好き者が集合して「種物三昧」だ。お世話になるお店も決まっている。Comming Soon !