『黒森庵』全制覇プロジェクト始動

好きな言葉「貸切」



どちらにしようか、本気で悩んじゃうことあるよね。昨夜がそうだった。『爆笑オンエアバトル』を見ようか、『タモリ倶楽部』を見ようか、で、だ。

そんなくだらないことで悩むんじゃない、という心ない意見もある。でも、昨日のオンバトはチャンピオン大会の準決勝で「ハイキングウォーキング」も出るし、タモリ倶楽部は「空耳」特集だったんだよ。

どちらか録画しておけばいいじゃないか、という無粋な意見もある。でも、録画したテレビ番組なんて、後で見たことがない。その場での一期一会なものなのだ。
そんな程度のモチベーションならば悩むほどのことじゃないだろう、という身も蓋もない意見もある。

そんなことをシラ〜ッと言うそこの君。君だよ。君には人の心というものがないのか?じゃあ、君は、渋谷『喜楽』に行って悩んだことがないのか?もやし麺にするかチャーシュー麺にするか、ワンタンも入れちゃおうか、チャーハンも食べたい、しばらく焼ソバも食べてないな…、とか…、ないのか。それが青春ってもんだろう。

でも、だいじょうぶだよ。そんな君のような冷血漢でも、永福町『黒森庵』に行ってごらん。「もりそば」にするか、「イタリアのもり」にするか、「赤いもり」にするか、はたまた「あつもり」にするか、絶対に真剣に悩んじゃうぞ。

と、まあ、そんなわけで、「果てしなき野望・たか志編」に続く第二弾を企画した。ターゲットは『黒森庵』。いつも、我等蕎麦好きを悩ませる、憎き四種類の蕎麦メニューを一気に制覇して、日ごろの憂さを晴らそう、という前向きな企画だ。それだけではない、ついでに十種類程ある日本酒メニューも端から端まで順番にやっつけてやろうという、更に前向きなおまけも付いている。

本来ならば閉店している午後4時、制覇好きの蕎麦オタクが三々五々と永福町に集まってくる。ある者は電車で、ある者は徒歩で。事前にしっかりお腹を空かすために、ポタリングして来る者もいる。わたしだ。飲んだ後は自転車は『黒森庵』に置いて帰ってしまえばいいのだ。

店の前には「臨時貸切」の看板が。いつもの「あて」と今日のために特別にあつらえていただいた、これまた極めて『黒森庵』らしい「つまみ」たち。やべ、うめえ。
日本酒はメニューの右から左へ十種類。この程度ならば楽勝だな、と思うまもなく、奥から続々と出てくる珍しい酒。酒。

「それの生原酒もありますよ」
アムロ行きます。
「おりがらみも試してみます?」
わたしは誰の挑戦でも受ける。
「一週間前に開けたのと較べてみますか?」
ジャコビニ流星群打法だ !
「こいつは燗すると深くなるんですよオ」
君のためなら死ねる !!



やっと、永い永い蕎麦前が終わり、いよいよ蕎麦制覇に取り掛かろうか、と、その時。

「今日は柚子切りも打ったんですよ」
俺は、負けない !!!
「粗挽きもあるんですけど…」
立て、立つんだジョ〜 !!!!
明智君、君の負けだよ」
・・・・・。

こうして、永福町の夜はにぎにぎしく更けていくのであった。
念願の『黒森庵』全制覇プロジェクト、成功裏に終了。

次はあの店を襲おうか!
で、いつにする?