「Road to 黒森庵」…というわけではないが

玉川上水、腐葉土の道



ひさしぶりにここを走りたくなった。

その日も目的もなくポタリングしていた。最初にこの道に迷いこんだときには感激した。MTBを買って間もなく、やっとおもしろさがわかってきたときだ。8月の暑い盛りだった。自転車をこぎながら、深い緑の木陰、雨の後の腐葉土の匂いに、思わず何度も深呼吸をした。「自転車をはじめてよかった、MTBを買ってよかった」と。玉川上水沿い、井の頭公園ジブリ美術館のちょうど北側にあたる。

本格的に「川ポタ」にはまったのはこのときからだ。それ以来、日帰りできる範囲の近所の川を走るのが週末の楽しみになった。
近隣はほとんど制覇しただろうか?でも、いまでも、最も好きなのは玉川上水久我山井の頭公園間のダートだ。片道4キロ程度だが、道路が変化に富んでいる。赤土あり、腐葉土の道もあり、走りにくい砂利道もある。


↑ こんな場所だ ↑ Google Earth用のkmzファイルのダウンロードはここから。

たいていは、川の左右を走り分けて往復する。川の北側は比較的走りやすい。問題は南側だ。それでなくても狭い道の真ん中を大木が道を塞いでいる場所もある。民家の塀すれすれ、幅80センチもないような道を走り抜けなければならない。散歩者に出会ったら降りてやり過ごすしかない。熊に出会ったら…、熊は出ない。

特に今日は平日だ。中途半端な時間なのだろう、ほとんど人に出会わない。ひさしぶりに往復8キロのタイムトライアルを。いい感じだ。お腹も空いてきた。じゃあ、そろそろ行こうか。今日の目的地は、永福町『黒森庵』だ。やっぱり蕎麦屋の話かよ…だと?悪いか?自転車には蕎麦屋が似合うのだからしょうがない。これは定説だ。教義にもある「長いものには巻かれる前に食べてしまえ」と。

しかも今日は、やはり蕎麦好き+ポタリング好きにという三ツ星付きの善人たちとのオフ会も用意されている。自転車好きが蕎麦屋に集まるといえば、『黒森庵』しかありえない。

今日の蕎麦はどんなんだろう…。

楽しみは蕎麦だけではない。おいしいつまみたち、何よりもいつまでもわたしを待っていてくれる「姫」の顔を見に、仏の御石の鉢、蓬莱の玉の枝、火鼠の皮衣、龍の首の玉、燕の子安貝などなどを持って、心も身体も一路『黒森庵』に。

やはりいいなあ、この店は。
申し訳ない、またまた遅くまでおじゃましてしまった。どうもここにくると、だめだめ江戸っ子に、ついつい長っ尻になっちまう拙。

今度はいつ来られるかなあ。なんと言っても、『黒森庵』はいまや「Never on Sunday」の店なのだ。でも、だいじょうぶだよ。また時間を作って来よう。次の秋の蕎麦はもっと味わい深くなっているだろう。楽しみだ。