うっかり手を出すと火傷するぞ
10月といえば、いよいよ「開幕」する。残念ながら一部に遅延行為が見られるようだが、だいじょうぶだよ、これは例年のこと。全員のスタンスが同じなわけないのでしかたがないことだ。昨年度は風評被害によって不遇なままシーズンを終えてしまったが、今年こそは最後まで盛り上がってほしい。
「開幕」といっても、↓ こんな話 ↓ じゃない。
- 車なんてもう買う気がないので「東京モーターショー」にはまったく興味ない
- 残念ながら「国際福祉機器展」も範疇ではない
- 「大阪コナモン博」に行ってたこ焼きが食べたいわけじゃない
- 「機動戦士ガンダム00」の放映を待っているわけじゃない
- 「パリコレ」?何それ?
- 「日本シリーズ」??、あ〜ア、野球の話ね
じゃあ、何のことかって?「牡蠣」の季節が始まったということなのだ。毎年この季節を待ちわびる。3月までの短い逢瀬を楽しむ。また会えたね、と。
夏は岩牡蠣があるじゃないか、って?…、誤解のないように言っておこう。生の牡蠣が好きなわけではない。火が通りかけた「半なま」の牡蠣が好きなのだ。
おいしく半なまを食べさせてくれる数多くの牡蠣料理があるが、やはり「牡蠣フライ」にとどめをさす。洋風の衣装をまとってワイン氏と一緒に登場する姿もいい。和風あつらえでおろしポン酢を供に引き連れた姿もいける。
でも、わたしを最も興奮させるのは、全身にざっくりした厚手の衣をまとい、高温で南国風にやや黒めに化粧された、トンカツ屋由来の、あの熱あつのあの娘の姿なのだ。もちろんお供は玉葱がちのタルタルソースだ。右手に和からしを左手にレモンの小片をもって現れてほしい。
待望の彼女がやってきても、落ち着いたほうがいい。あせって半なまのあの娘にうっかり手を(この場合は口か)出すと火傷するぞ。厚手の衣の中には、情熱的な身体がジューシーな汁とともに閉じ込められている。
蕎麦はどうしたんだ、って?とりあえず蕎麦はいい。一年中ずっと会っていられる。しかし、牡蠣フライは違う。こんなに好きあっている二人(相手はどう思っているか知ってるのか?)なのに、やがて別れの時はやってくるのだ。せめてそれまでは、他のことは忘れて、いつも一緒に…。
じゃあ、両方いっしょに食べられる「牡蠣そば」はどうかって?フライでこそないがちゃんと半なまで出汁もでておいしいぞ、って? 君って、なんて大胆なやつなんだ…。二人の純情を傷つけるような、そんな不純なこと、わたしは考えたこともないぞ。