本格的な手打蕎麦をだすカフェ

豪徳寺 蕎麦「あめこや」



沿線に新しい個性的な蕎麦屋ができている。そろそろ一周年を迎える。駅は小田急豪徳寺。『あめこや』だ。使い込んで「あめいろ」になった木の家をイメージしているらしい。
最近、従来の手打蕎麦屋のイメージを超える個性的な店がちらほらできている。『あめこや』もそのひとつ。むしろその筆頭に位置するかもしれない。

健康食とダイエットブームのせい?高齢化社会を見据えている?団塊狙い?なんだろうか、蕎麦を売り物にした小料理屋やダイニングが増えている。手打蕎麦を出す料亭も少なくない。たいていは、ちょっと小洒落た創作料理と蕎麦屋メニューが入り混じる。個性的な酒の品揃えにもこだわっている。もちろん〆は手打蕎麦だ。

居酒屋タイプは仕事帰りのオヤジだらけで、小料理屋タイプは若い部下を連れたオヤジたちで、ダイニングタイプは蕎麦が健康的でダイエットにいいという幻想を持ったカップルや女性客で(誤解のないように言っておく。蕎麦は健康的でダイエット食だ。ただし蕎麦だけ食べて蕎麦湯だけ飲んでれば!ね)、料亭は接待客で、それぞれにぎわっている。
ところが、ここ『あめこや』は家族連れが圧倒的多数だ。めずらしい。

蕎麦屋に行くのを遠慮しがちな幼児連れでもまったく問題ない。そうだろう。だって、店内はまるでカフェそのものなのだ。実際にそのような固定客がついている。
オーナーの発想なのか、それともプロデューサーがいるのか知らないが、コンセプトは見事に当たった。15:00〜23:00という営業時間も、蕎麦屋としては意表をついていて見事だ。

で、わたしにとって最大の問題、「かんじんの蕎麦の味」は…だいじょうぶだよ、おりがみつきの合格。町の蕎麦屋の水準は遥かに高く越え、そこいらにニョキニョキできている十割蕎麦を売り物にした店と較べても抜きん出ている。ただし、この手の店の特徴として、汁が薄くて甘めなのは仕方がない。薄めの汁にどっぷりつけて食べたい人が多いのだろう。「塩分取り過ぎ」を申し渡されたオヤジも多いことだし、いいだろう。

店内はかわいい小物と花と水玉模様があふれている。う〜ん、『あめこや』という店名同様、この店を大事に育てていこうという、オーナーの心意気がいたるところに感じられるので、まったり蕎麦屋酒好きオヤジとしても、この際これもよしとしよう。

大量定年退職をする団塊世代が、遠慮なく幼児連れの子供夫婦とやってくる「蕎麦屋」。蕎麦のクオリティと日本酒の品揃えにオヤジは満足。おしゃれなメニューと雰囲気に若夫婦も満足。子供の好きそうな甘いものもしっかり用意されている。しかもナチュラルな素材で安心。

「蕎麦味噌」と「アボカドとクリームチーズのオカカ和え」、「純米酒」と「カフェオレ」などがメニューに混在している。こんな店、これから増えるんだろうなあ…。

次はいよいよ、手打十割蕎麦を、しかも国産の○○県○○産の玄蕎麦を売り物にしたファミレスや郊外レストランの番だろうか?
こうして、本格蕎麦屋の受難時代がはじまるのだと思う。それについてはまたいつか。