繁盛ぶりを背中で楽しむ 三鷹『きびや』

Hosanm2007-04-13



三鷹・吉祥寺エリアって、蕎麦屋激戦地区だね。気にいっている店に、未訪の気になっている店もふくめると、今日はどこ行こうか、もう…どうしよう…、と、毎回悩んでしまう。

で、なぜか今日は平日。そんな中で、平日限定の第一候補は、三鷹きびや』だ。

『きびや』はいまや蕎麦好きの間では有名店だ。休日はちょっと近寄りがたい。自分のなかでは、あえて「平日限定」にしているのだ。もちろん、繁盛店でもあるので、平日も混んでいる。が、平日に行く理由が三つある。(いやしくもコンサルタントたるもの「理由は三つ」ないといけないらしい)

それは、平日限定の「粗挽き」があるからだ。普通のせいろもおいしいが、より好みなのは、かおりと味が深い粗挽きだ。通常、粗挽きはせいろより数百円高いところが多いが、ここ『きびや』では同価格。しかもランチでどちらか選べるのだ。(おまえけっこう細かいんだね)

しかもそのランチの値段がすばらしく魅力的でもある。
だってさ、海老も入ったあのさくさく天丼に、あの量もたっぷりな粗挽き蕎麦が付いて、千円ぽっきりだぜお客さん。
だって…蕎麦の大盛りもたったの二百円プラスだから、作りたての天むす2個にあの粗挽きを大盛りにしても、やっぱり千円なんだよ。米もおいしいし、持ってけドロボウだよ。
しかも、しかも…、全部のセットに、だし巻きたまごや板わさも付いてくるのだから、ありがとう(十字をきるしぐさ)。これだけで一杯呑めるよ。
だって、だって…。(わかった。もういいから、興奮するなよ)

ま、そういうわけで、味一流、コストパフォーマンスもとびっきり。また、粗挽きの「平日限定」というところが憎い。平日昼○昼蕎麦好きの、好きもの心をくすぐる。

え〜と、「平日限定の粗挽き」と「ランチの価格設定」が出たから、あとひとつね…。三つ目は、そう、接客がすばらしいのだ。

まさか、繁盛店のランチのまっさかりに行くのは申し訳ないので、『きびや』訪問はランチ後もしくは開店と同時が多い。中休みのない店なので、ほんとうはランチ後がのんびりできるのだが、粗挽きが終っているという欠点があり、開店直後にうかがうことが多い。

お気に入りの奥のカウンターのさらに一番奥の席で、ひっそりと三種盛りなどでまったりしていると、とうぜんのことながら、ランチの喧騒がやってくる。夢見ごこちで、背中と頭上を行き交うオーダーの流れを聞くともなく聞いている。で、ふと気がつく。まったく流れに滞りがないのだ。

6種類程度のランチメニューだけでも、「もり」「かけ」「粗挽き」「大盛り」の選択肢がある。その他にも蕎麦屋メニューが満載だ。わたしのように、昼からまったりして夜メニューを頼むおやじもいる。厨房にオーダーが通っていくやりとりを聞いているだけで、スムーズな流れが想像できる。
しかも、見るともなく周囲を見ていると、出し忘れや品違いなどのトラブルも皆無のようだ。ちゃんとオーダー順に出ているみたいだ。この人数でだ。しかも、きちんと会計をして、きちんと「ありがとうございます」と声が出ている。
このすばらしさをぜひ体験して欲しい。(そんなア…混雑がわかっているのに、わざわざ狙って行くなんて失礼だろう?勧めるなよ!)

いやいや、いや、すばらしい店だな。お客さんもちょうど良いタイミングでちょうどよい人数が訪れ、ほとんど待つこともなく、しかもいつも満席だ。
今日も「三つとも」堪能した。この接客のすばらしさを「あの店」に見せてやりたいくらいだ。一日でいいから研修に来ればいい。

えッ「あの店」ってどこかって?
蕎麦屋じゃないのだが、去年そんな店に連れていかれた。その話はまた機会があったらする。(思い出しても平気なくらい気分のいいときにしよう)

味と値段がすべてで、あまり接客態度にはこだわらない方だ。変な店の経験も多いが、客が飲み食いしている席の後ろで、閉店まぎわにしろ、オヤジが電気かみそりで髭をそりはじめたのにはあきれた。
きっとばかな客たちがおだてて「よいしょ」して、木に登らせてしまったのだろう。自分で金を払っていれば一言注意している。自分の行きつけの店だったらその場で怒って暴れている。でも、ま、だいじょうぶだよ。二度と行かなければいいのだ。それを良しとしている他の客が憐れだけどね。