昼酒昼蕎麦強化月間は続くI'll be back,『黒森庵』

Hosanm2007-03-18



強化月間は続いている。今日は、再び『黒森庵』で強化してきた。正直に言おう。「強化」だけが目的ではなく、本当は「あの娘」に会いに行ったのだ。今のうちに…、と。

時間とは残酷なものだ。あんなにみずみずしく美しかったものが、時を経るにつれ、どんどん黄ばみ、風化していってしまう…。二人の仲もだ。

あんなに好き会っていた二人(相手はどう思っていたかはわからないのに…)が、やがて、まもなく、別れなければならない。
何とかこのまま、二人の蜜月が続いて欲しい。しかし、二人の仲を引き裂こうという勢力はあなどれず、別れのときは刻々と迫っているのだ。
最後の刻が、せめて最後の日がわかっていれば、と願う。

しかし、この不惑の恋(だれが不惑なんだ?ウソつくなよ)にも、別れは突然やってくるのだ。在庫が尽きたときに・・・。ああ、「菊姫 山廃純米生原酒 無濾過(たぶんこんな名だ)」よ!
せめて、次の世まで(ようするに来年ね)、あなたの名前を覚えておこうにも、あなたを失ったうつせみのこの身には、すでにあなたの名は遠く、その名すら記憶のかなたに…(ようするに、正確な名前を覚えていないんだろう?)

というわけで(どうゆうわけだか…?)、「菊姫のなんちゃら」は、まだ『黒森庵』にあるとのことで、昼酒昼蕎麦をしてきた、ということなのだよ。

いつもの生ハムも蕎麦も、いつも通り、とてもとてもおいしかった。多忙にもかかわらず、特製とろとろ蕎麦湯までいただいてしまった。多謝。以前「適度に混んでいていい感じだ」と書いたが、日曜日にのんびりさせてもらうのは、そろそろ限界かもしれないね。今度は、午後半休にしてでも、平日に来よう。

とりあえず、両方ともまだだいじょうぶだよ、と言ってもらえるうちに、菊姫様にもお目にかかり、次の逢瀬の約束もしてきた。しかし、確実に別れのときは迫っているのだ。

「これ」はまちがいなく、日本酒としては異端、というか鬼っ子だと思う。だって、このフルーティさは日本酒のものでないよ。意図して作ったものとは思えない。
偶然できてしまった、不肖の子だが、変に優等生ではない不思議な魅力があるので、作者としてはかえって気になる。が、もう一度同じものを作るかというと、いや「作れる」かというと難しい。といったところではないだろうか…?(と、かってに妄想してみる)

同じような味の酒を飲んだことがある。
ロス回りでの帰国途中に、隣に乗り合わせた米国の酒飲みオヤジと気が合い、おせっかいにも、乗り継ぎのロスの免税店で、強烈に勧めてくれたワインだ。3本買ったら、150ドルもとられた(そりゃあうまいだろう)。カルフォルニア産のスービニオンの白で、メロンを染み込ませたワイン樽を使っている、とのことだった。

これはうまかった。一本あげてしまったのが、いまでも夢に出てくるくらい(いじきたない)惜しい。一期一会だと思っていたので、ラベルを取っておくどころか、名前も忘れてしまったのだった。

かって、同じような「鬼っ子」の黒糖焼酎に出会ったことがある。たまたま一樽だけできてしまったのだそうな。やんちゃな味だったので、「やんちゃ」と名付けられた。ほんとうにやんちゃな娘だった。偶然出会い、あまりのうまさに、通販を探し、半ダースほどの在庫を買い占めてしまった。(あの通販サイトが限定品は一人一本しか売らなくなったのは、おまえのせい?)

偶然できた焼酎だ。その後二度と出会えなかったのは言うまでもないことだ。「菊姫のなんちゃら」にも同じ宿命を感じてしまう。異端過ぎるのだ。
それならば、せめて別れの時まで、せいぜい逢瀬を楽しむとしよう。

I'll be back,黒森庵. Hasta la vista,菊姫.