表情は語る(2)顔文字

アッシジ聖フランチェスコを讃える



「人相学」といわれると、現在ではちょっと胡散くさい感じがする。でも、ルネッサンス期の画家にとっては、人物を描き分けるために必須科目だったのだろう。イタリアの彫刻家ポムポ二ウス・ガウリクスの『彫刻論』にはこう書かれている。

まなこ、右側に片寄りたるは心健全ならず狂気に近い相、左に寄りたるは放蕩を好む相。・・・・・上向きにやや反りたる鼻は行い心性の正直なる者、真直に長きは口に軽き者・・・・・

といった具合だ。美術論や技法論と並んで、重要な項目をしめている。

西洋の人相学はアリストテレスの時代からの歴史があり、元々は肉体と魂の関係、つまり「容貌上のある特質が内面の性格と深い関係を持つ」という考え方から発展していったものだ。

世の中には、「顔フェチ」というすばらしい性向を持った人たちがいて、様々な顔の写真を集めている。例えばこんな「ヨダレもの」のWEBサイトがある。どう?すばらしいでしょう! あッ、違ったものを期待してクリックした人、…、ごめんなさい。でも、じっくり見れば見るほど感動してもらえたと信じる。ほんと!このページの作者の感性!心から尊敬してしまう!
作者さん、決して著作権を侵害しようというつもりはない。画像の引用を許してね。



そう。街には「顔」が溢れているのだ。一人では生きていけない群生生物のわたしたち。否応なく他者とのコミュニケーションという場に直面し続けている。他者とのコミュニケーションを円滑にするために必要なのは、相手の感情を知ることだ。相手の感情を知るのに最適なのは顔、表情を見ることなのだ。

だから、わたしたちは、かように、顔に敏感なのだ。どんなに単純化されても、人は、そこに「表情」を見い出そうとしてしまう。逆にいうと、人の顔認識力がすさまじいということでもある。

近年、日本最大の発明の一つは「顔文字」だと思う。

顔文字の歴史については、西洋起源でいろいろいわれている。
が、他人の顔色をうかがうことを根底に持つ文化。しかも2バイト文字の表現力を持つ我が国。こと顔文字に関しては、日本にかなう国はないだろう。単純な「記号」を合わせただけなのに、何て豊かな表現力なんだろう。しかも、確かな共通認識を持ててしまうのが不思議だ。

特に、眼(または眉と額)と口の表現力が高いみたいだ・・・・・。いかん、また脱線してしまった。続きは次回。だいじょうぶだよ。ちゃんと眼とか眉とかについて書こう。