WEBディレクターとして

Hosanm2007-08-10



企業活動の大事な部分をアウトソーシングするとしたら。例えばWEBページの制作だ。企画出しからごっそりアウトソーシング(丸投げ)するとしたら、あなたは、どんな基準で丸投げ(?)先を選ぶだろうか? どこを最重点とするだろうか?

そんな基準、最近までわたしも持っていなかった。いい仕事すればいいんだろう?、成果物がもの言うよ!程度にしか考えていなかった。…。でも、企業の担当者の立場にたって考えると、それは違う。
気付いたのは、自分が丸投げする立場にたってからだ。成果物が良いの当然、問題はその過程だということに、遅まきながらやっと気付けたのだ。

WEB担当者として、最も大切なのは「成果物」との間を取り持ってくれる「WEBディレクター」の、そのアウトソーシング先の担当となるディレクターの「力量」だ。

力量というと漠然としてわかり難い。「覚悟」という単語をつけ加えたい。

ディレクターとして最低ラインは、基本的な作業ができるスキルを持っていることだ。例えば、デザイナーやコーディングスタッフに逃げられたら(…想像もしたくないが)ある程度までは、自分で寝ないでもやってしまう、という技術と覚悟を持つということだ。

しかし、これは、納期内に仕上げるという「内向きの」必要なスキルでしかない。自分自身が企業のWEB担当者だったら、内向きの対角にある「外向きの」スキルを、自分のために求めたい。

私見だが、外向きの最大のスキルは「クライアントの代理人」として、場合によっては、自社内の身内のスタッフと戦ってくれる「覚悟」があるかどうかだ。

クライアントはいいたい放題言うものだ。しかたないとも思う。だってクライアントなんだし、たいていの場合、彼ももっと上からいわれているのだ。でもそれも、程度があるからね…。燕(つばくらめ)の子安貝を取って来いなんていわれても困る。

片や、社内ではどうか?
ベテランデザイナーもいる。何とか賞にノミネートされた(受賞じゃないが…)という誇り高い輩かも知れない。「ん?そのわたしのデザインに不服があるのかね、ワトソンくん」…、と。
真正おたくの域に手が届きそうなシステム設計者もいる。「ん?それって仕様変更じゃないの?○月○日23.18時に僕が提出した仕様書に従ってくれないと困るんだよ」と…。

でも、でも、「納期を守る」を聖域に、社内スタッフだけのいいなりに、スケジュールを押し付けてくるWEBディレクターは失格だと思う。たいていの企業のWEB担当者は専任ではない。他にも山のように仕事をかかえているのだ。

両者の言い分を冷静に判断して、ときには賞をとりそこなったデザイナーに文句をいうリスクも負ってほしい。SEを押さえつけていうことをきかせることだってあっていい。
えばっても、怒っても。調整するのもよし、替わりにあやまってくれても、おだてて乗せてもらってもいい。

だめなディレクターは「せかす」だけだ。それをいっちゃあいけないヨという一言もいってしまう。「お約束ですから、今日中に○○をもらえないと困ります。納期遅れますよ」と。

WEBサイトなんて、まだまだ発展途上のメディアだ。WEBディレクターの重要性を理解していない人が多い。地位も低そうだ。これからよい企業サイトが作られるためには、WEBディレクターがもっと力を持つ必要がある、と信じる。

つぎに仕事をアウトソーシングするときには、担当者=ディレクターにこう尋ねてみようと思う。
「あなたは社内でどれだけの力を持っていますか?」
「身内と、社内の軋轢とも戦ってくれる覚悟がありますか?」
と。

WEB ディレクターとして、わたしはどうだったのだろう?かってに描いたスケジュール表を大上段に振りかざして、納期納期と、クライアンを締め上げていたような気がする。それが悪かったのかどうかもわからない。ま、いいや、だいじょうぶだよ。だから、きちんと納品できてきたからだ。
で、問題はこれからだ。これから自分はどうなっていけるのだろうか…?