ホームページリニューアル 丸投げの現場にて

きみの血を…



自社のWEBサイトを他社に作ってもらっている。?。ちょっとわかりにくいので説明する。

当社はWEBページ(ようするにホームページというやつだ)の作成を生業の一部としている。創業以来11年で、軽重あわせて300社以上のWEBサイト立ち上げにかかわっている。当然、歴代の自社のWEBサイトも自社製だ。外部のデザイナーさんにお願いすることはあるが、ディレクションは自分たちでやってきた。
が、今回は違う。完全に、外部のWEBページ制作会社に外注して、というか、「丸投げ」して作成している。

自分で、かって知った自社のページを企画していると、どうしても、毎回、似たようなものができきあがってしまうのだ。難しいことをやろうとすると、コストだけでなく、手間がかかってしまうので(それでなくても他社さんのページ作成で忙しいのに…)、どうしても楽な方向に流れていきがちだ。だから、適当なところで手をうってしまうし、冒険もしない。例の「予定調和」の罠に陥ってしまうのだ。

「あたらしい血を入れよう!」を合言葉に、現在は100%、完全丸投げ中なのだ。で、社内の取りまとめ役を引き受けた。
制作会社さんとこんなやりとり!がされる。

  • えッ、デザインから起こすのですよね…。ページ数も多いし、ちょっとその納期は…。
    「だいじょうぶ、だいじょうぶだよ。まだ2ヵ月もあるじゃない。何とかお願いしますよ」
  • ここの御社ご紹介の内容ですが、いつまでに原稿をいただけますか?
    「われわれでは作れません。そういうの苦手なんです」
    それでは、パンフレットの内容を入れましょうか?
    「いやそれは困る。パンフレットの内容はちょっと違うし…」
    でも、御社のご紹介は御社でしかできませんよね。
    「困ったなあ。そうだ、適当なライターさんのお知りあいはいませんか?インタビューしていただいて、ちょいちょいっと、書き起こしてもらいたいのですが…」(いいのかい?企業ドメインや理念にかかわる、大切なことじゃないのかい?)
  • スタッフ紹介ページの内容はどうしますか?
    「う〜ん。質問内容を提案していただけませんか?そういうの苦手なもので…」
  • どんなものでもいいです。参考までに、イメージしているものを教えてください。
    「こういう社風ですから、やはり、全体に暖かくて…、で、どこかでクールな感じかな」(そんなのありえないよ!)
  • どうですか、このトップページのFLASHムービーは?
    「イメージの展開がちょっとヒュルル〜ン過ぎませんか?もっと、そうだなあ、シュタッて感じ。もっと、『やってる』っていうか『やる奴ら』というか…『手練(てだれ)』感があるほうがいいなあ」
    そう言われても…、もう少し具体的におっしゃっていただけませんか?
    「それ考えるのが、あなたの仕事じゃないの?」
  • ここのナビゲーションがご不満だとか?
    「はい。ここはこうして(へたな絵を書きはじめる)、こんな風でお願いします」
    でもそれだと、他のページと矛盾しますよね…。「ええ、でも、学生のときデザインをやっていた上司がそう言ってるので、ぜひそのようにお願いしますよ」(学生のときって…30年以上前だろう?)

制作会社さんとわたしとの間で、等々のやりとりが、今後も繰り返されるだろう。もちろん、今回に限って「括弧の中」がわたしだ。いつもクライアントに言われて、困っていることを、思い切りぶつけて、この際、すっきりしてやるのだ。提案はしないくせに、できあがりにだけ文句をつけるいやな奴になってやるのだ。<ご注意>
この物語はフィクションであり、実在または類推される人物・団体などとはあまり関係がありません。