完璧な和音 風の音に誘われて

Hosanm2007-05-04



風が心地よい。

いい季節になった。しかも連休だ。人として、そんなことをしている場合じゃないのは重々承知しているが、仕事をしている。唯一のなぐさめは、オフィスとの往復のポタリングだ。

大気につつまれているのが心地よい。

自動車が少ないと、都会もこんなに安らかなんだな。風ににおいがある。

休日出社のときは自転車を利用することが多い。都心に向かうのだから、幹線道路を避けて、排気ガスの少なそうな、河沿いの遊歩道や裏道をたどって行く。

住居のある世田谷西部から千代田区までの道程での難所は、環七越えと山手線越えだ。
最初の難所である環七は、信号待ちをしているだけで息苦しくなるほどの排気ガスだ。長い信号待ちが終り、やっと渡れる。いつもならば、左右はぎっしりと車に覆いつくされている。が、今日はどうだ。あえて信号待ちしなくてもいいくらいガラガラだ。

こんなにみんな、どこかに行ってしまっているんだね。(でも、帰ってきちゃうんだね…)
というわけで、とりあえす爽快な気分でオフィスに着く。

いまかかえている時限爆弾はたちが悪い。解体にはスキルと集中力が必要とされる。量も多いので持久力も必要だ。上手にリフレッシュしなければ、たちまちミスをしてしまいそうだ…。

で、少しでもよいので「爽快な気分」を味わおうと、帰りは、幡ヶ谷『ふじ多』へ立ち寄る。(やっぱり蕎麦かよ…) 新宿高層ビル街では、突風に横倒しにされた自転車のおっちゃんを助け起こしたり、飛ばされそうになった散歩中の子犬に手を貸しながら、やっと到着。今日はぎりぎりセーフ。入店後すぐに「売り切れ終い」の札が出てしまった。良かった。これで目の前で売り切れ終いだったら、おれグレちまうぜ。

「普段はブレンドして打っているが、今日は茨城だけで打ってみたが。味や如何?」とのことだった。とても甘くて味わい深い蕎麦だった。(蕎麦が甘い…って…)

蕎麦もつまみもおいしくいただき、再び強風の中を漕ぎ出す。車の雑音が少なく静かだ。強風にあおられながらも、風の音が心地よい。

ちょっと遠回りしてみよう。と、甲州街道と環七を越えてから、風の音を追いかけながらあちらこちらと自由落下モードに入る。爽快。

樹々の間を駆け抜けながら、絶妙なハーモニーを奏でる風の音が心地よい。不思議だよなあ、自然の音って、なんでこんなに心地よいのだろう?なんて完璧な和音を奏でるのだろう?
それに引き換え、なんで、人間とその道具は、好んで不協和音をたてたがるのだろう?たててしまうのだろう?…。

帰宅後、のんびり入浴。2日ほど風邪っぽかったけど、これで、明日もだいじょうぶだよ。やる!

…。風の音があまりに心地よかったので、ボビー・ダーリンの話をし忘れてしまった。それはまたいつか。