陽だまりの猫 Don't Stop the Carnival III

ロリンズ渾身の「サキソフォン・コロッ



「Don't Stop the Carnival」といえば、最初に思い出すのはソニー・ロリンズだ。

ソニー・ロリンズ(米)
ジャズサキソフォーン奏者
その歌心溢れるアドリブで奏でる豊かなテナーサックスの演奏は、長年にわたって多くのジャズファンに愛されている

1930年生まれ(まだ生きているはず…)

辞書風にいうとこんなところか。

他のジャズプレーヤーと大きく異なる点がある。「底抜けに」明るいのだ。一時失踪したり、当時めずらしいモヒカン刈りにしてカムバックしたりと、不思議な繊細さも見せるが、演奏はとにかく明るいのだ。
母親の出身地がカリブ海(だったはず)という影響は大きいのかもしれない。

カリブ海は「明るい」。いろいろな国に行ったが、「もうどうなってもいい」と思うくらい、のんびり、冬の陽だまりの猫状態で、ホゲホゲしてしまった唯一の場所が、傷心を抱えて行ったはずのジャマイカだった。

トム・クルーズにちっとも似ていないバーテンダー氏の作る、ラムベースの強いカクテルを味わいながら、まる二日間、なにかが芽生える気配もなく、(そもそもあまり芽生えない体質をしている) 観光にも行かず、海にも入らず、朝日をながめ夕日に魅入り、ひたすらダメ人間になってしまった。

ときどきうたたねから醒めて、また寝入るための数10分の読書をする以外は、昼間はバーとパラソルの間を、夜は部屋とバーの間を往復するだけだったのだ。
こんなことしてても、だいじょうぶだよねと思うことすらなく。

あそこは、確実に、他所者をだめにし、住民を確実に明るくする。

で、ソニー・ロリンズの代表曲がカリプソ「Don't Stop the Carnival」だ。
若い頃に歴史的な名盤を録音してしまったロリンズ。その後のロリンズに、特にカリプソのような軽い曲に批判的なハードバップ原理主義者は多いが、余計な固定観念をすてて聴けば、こんな楽しいジャズにはあまりお目にかかれない。



ロリンズもこの曲が好きらしく演奏も多い。ライブも含めたソースがいくつか手に入る。全部集めてiPodに入れ、続けておもいっきり聴いてやろう。
…カーニバルが終ったら…。