ただいま工事中につき- マンホール天国の町

都会に印された曼荼羅



3月も、もう10日をきった。最後の追い込みだ。
さぞかしご多忙な日々をお送りのことと推察申し上げます…。大変ですよね。年度末ですから。予算を使っちゃわなくてはいけませんよね。この際、道路工事などして、予算の奴をやっつけてしまいましょう。お役人様にあらせられては、なんでも、3月は出張も多いそうですね(実も空も併せて)。

17日は「お気に入り河川巡りのポタリング」をしたのだが、3月というわけで、どの河に行っても、まだ4月までには時間があるからだいじょうぶだよ、と、川底か沿道の工事をしていて、とても風流のきわみだった。土建屋国家日本としては、これは、粋な、季節の風物詩だ。
まもなく、NPO法人日本季語選定協会(そんなのある?)によって、3月限定の「春の季語」に認定されるそうだ。『工事中』が。

しかし、日本はほんとうに土建屋国家だね。いつもどこかを掘り返している。経済に喝を入れるといえば、長期計画では「箱物作り」と「高速道路建設」だ。短期の年度末駆け込みでは「道路工事」。

GPSの自転車走行ログを見てもらえばわかるように、S田谷区のS師ヶ谷O蔵〜S城G園エリアに住んでいる。S師ヶ谷O蔵というと、なんと言いましょうか、ええ〜と、ちょっと口に出すのも照れるのだが、「ウルトラマン商店街」ということになっている。O田急の駅では、電車到着のアナウンスの前にウルトラマンのテーマソングすら流れるのだ(やっぱり恥ずかしい)。しかも、上りと下りの曲が違うという凝りようだ。

近くに、生みの親の円谷プロがあったからだ。過去形なのは、円谷プロは引っ越してしまっているからだ。「S師ヶ谷O蔵=ウルトラマン商店街」構想が実現したときは、とっくに引っ越した後だったような気がする(…のですが、いかがなものでしょうか)。

さてこの町にはもうひとつ名物がある。それは、「マンホール銀座」である、ということだ。くわしくは「マンホール銀座調査(第2報)」を見て欲しい。ここでは、駅の南側のK町(あれっ一文字だと頭文字化できない)の例が載っているが、なかなかどうして、北側のS師谷も、お隣のS城も、たがいに良い刺激を与え合っているようで、負けてはいない。

そういえば、いつも工事の多い町だ、と思っていた。が、マンホールが悪いといっているわけではない。マンホールこそ、都市に残されたメタファーとしてのミクロコスモス。都会に印された曼荼羅。コンクリートジャングルの唯一のオアシス(そんなわけないか)。・・・・いくらならべあげてもむなしいのでやめておく。自転車乗りにとっては、ただすべりやすいだけなのだ。

この町に○十年住んでいるが、マンホール銀座だとは知らなかった。自転車に乗りはじめたある日「ぜんぶのマンホールの間を通ってやるぜ。スラローム技術を磨くんだ」と思い立ち、家を出た。その決心は100メートルも走らないうちに潰えた。だって、こんなに、マンホール、あるんだもの。