小林旭『自動車ショウ歌』


小林旭って知ってる?
普通の若者は知らなくてもだいじょうぶだよ。でも、知らない人に何と紹介したら良いだろう…。

う〜ん…、『ギターを持った渡り鳥』『銀座旋風児(ぎんざまいとがい)』って知ってる?小林旭が主演している日活映画なんだけど。そもそも日活って知ってる?知ってても、ロマンポルノを作っていただけの映画会社じゃないよ。
小林旭は、2年間だけ、美空ひばり(これは知ってるね)のご亭主だった人だ。そうそう、東映に移ってからの『仁義なき戦い』も忘れると怒られるね。

映画界では、東京都知事(2007年3月現在のね)の弟、石原裕次郎と日活映画全盛時代を支えた、大スターだ。ただ、ひたすら「格好よさ」を追求した裕次郎と違い、変に「ぶっ飛んだ」ところがあって、三枚目的な側面が愛されていた(と思う。たぶん)。

謡曲界では、音域の広さ(というか、聴いてて思わず首が伸びてしまうくらいの、ぶっ飛んだ高音)をもって、『ダンチョネ節』『北帰行』『昔の名前で出ています』『純子』『熱き心に』など、生粋の演歌歌手として有名だ。うち、『熱き心に』は大瀧詠一の作曲という異色作でもある。

その小林旭には、ユーモア歌手としての一面もあり、代表曲が『自動車ショー歌』で、『茄子 アンダルシアの夏』のエンドタイトルに流れる、忌野清志郎の『自転車ショー歌』の元歌なのだ。(ショーとは、SHOW歌、唱歌、頌歌のどれなのだろう?)

自動車ショー歌」 星野哲郎(作詞)

あの娘をペットにしたくって
ニッサンするのはパッカード
骨のずいまでシボレーで
あとでひじてつクラウンさ
ジャガジャガのむのもフォドフォドに
ここらで止めてもいいコロナ
・・・・・・・・
ベンツにグロリアねころんで
ベレットするなよヒルマンから
それでは試験にクライスラー
鐘がなるなるリンカーン
ワーゲンうちだよ
色恋を忘れて勉強セドリック

当時としては、本当にぶっ飛んだ曲だ。

この手の小林旭の歌を集めたCDがある。大のアキラファン、大瀧詠一監修の『アキラ4』だ。

アキラ 4

アキラ 4

自動車ショー歌』以外にも、『恋の山手線』『宇宙旅行の渡り鳥』など名曲(?)揃いだ。こう機関銃のように、続けざまに聴かされると、かならずどこか笑ってしまう。

というわけで、黒田硫黄からアンダルシアの夏に続いて、ああッ、やっとここまでたどり着いた。首を伸ばして、小林旭のぶっ飛んだ高音を楽しんでくれ。

そろそろ70歳になる小林旭はいまでも現役で歌っている。