物語の周囲と内部で鳴っていた曲のことなど【リンク修正版】

イチゴ型のルビーを…



・・・・・というわけで再録。

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以前は書かなかったけれど、このブログをはじめた理由の一つは、かって縁があってある業界誌に書いたものを「デジタルデータとして残しおこう」と思った、ということでもある。

限られた業界以外では役にたたない雑誌であり、かつ数字としての情報がメインであったため、記事はあくまでもページを埋めるための添え物でもあった。ほとんどの人の目には触れていないと思う。
とはいうものの時代も違うので若干の修正をした箇所もある。また、せっかくだから、何か加えることはないかと思い、イメージしていた曲名をタイトルに添えることにした。

そのことについて訊かれることがある。
なんでなのか?…そのときに周囲で鳴っていた曲のことも、わたしの中で鳴っていた曲のこともある。
どんな曲なのか?…いまは「YouTube」という適切なメディアがある。ちょうど良い機会だ、ご紹介しておこう。どれも、知らないままでいるのはもったいない名曲だ。


●『酒場のキリギリス(1/3)』 2007-07-12
 「My Back Pages」 - Bob Dylan
 http://www.youtube.com/watch?v=hB96ALIS9JY

ビデオは作曲者ボブ・ディランのライブ。大げさなメンバーの大げさな演奏で、この曲とマッチしていない。ここで鳴っていたのはもちろん、キース・ジャレットのトリオ演奏だ。といっても、YouTubeでは望めないのでこれでがまんしておく。


●『酒場のキリギリス (2/3)』 2007-07-13
 「I'll Never Fall In Love Again」 - Dionne Warwick
 http://www.youtube.com/watch?v=pog93pCcPb0

一世を風靡したバカラックメロディーの代表作だ。いろいろな演奏があるが、やはりディオンヌ・ワーウィックだよね。S崎が口ずさんでいたのも当然そうだ。


●『酒場のキリギリス(3/3)』 2007-07-14
 「You May Be Right, (I May Be...)」 - Billy Joel
 http://www.youtube.com/watch?v=TA4_Or0IpBs

悪ガキだったころのビリー・ジョエルって、バラードからロックンロールまで、ほんとうに魅力的だったと思う。歌も曲も歌詞もパフォーマンスもすばらしい。特にこの曲では、

You may be right, I may be crazy
But it just may be a lunatic you're looking for

というサビの部分の歌詞が気に入ってしまった。
「BGMでビリー・ジョエルが歌っている。『こんな変な男を捜していたんだろう…』」というくだりだ。


●『はじめての煌めき(1/2)』 2007-08-26
 「For All We Know」 - Carpenters
 http://www.youtube.com/watch?v=kH-xF1A9PS0

昔これを書いたとき、頭の中では、最初からカーペンターズのこの二曲が流れていた。


●『はじめての煌めき(2/2)』 2007-08-28
 「We've Only Just Begun」 - Carpenters
 http://www.youtube.com/watch?v=__VQX2Xn7tI

これもカーペンターズ。ポール・ウイリアムスの曲だ。


●『10年目のエタニティ(1/2)』 2007-09-08
 「It's Only A Paper Moon」 - Nat King Cole
 http://www.youtube.com/watch?v=kgNef0mgOeI

いろいろな名演奏があるが、やはりナット・キング・コールだ。もちろん、ベストは『アフター・ミッドナイト』だが、ビデオが残っているはずがない。なんかの映画で「Paper Moon」を「絵に描いた餅」と訳した字幕があって、うまいなあと感心したことがある。


●『10年目のエタニティ(2/2)』 2007-09-09
 「(on this) Harvest Moon」 - Neil Young
 http://www.youtube.com/watch?v=b3zALb-DB3s

ニール・ヤング、若いときからずっと大好きだ。どこが良いのかわからないが、この声と歌とギターを聴くと平静でいられない。アルバム『ハーヴェスト』を知った上でこの曲を聴くとまた感無量。


●『恋するハッカー(1/3)』 2008-02-03
 「Old Friends」 - Simon & Garfunkel
 http://www.youtube.com/watch?v=BPTOY8FrvNw

これは、もうこのデュオしかないだろう。二人のファンにとっては歴史的な「セントラルパーク・コンサート」だ。
・・・・・と、コンサート版は削除されている。でも、これがある。こちらの方がしんみりしていい。この曲にはこの歳の彼らが似合うと思う。


●『恋するハッカー(2/3)』 2008-02-04
 「Just An Old Fashioned Love Song」 - Shambala Paul Williams
 http://www.youtube.com/watch?v=Xndt9IkAidE

作曲者ポール・ウイリアムスも、ヒットさせたスリー・ドッグ・ナイツも不思議なことにビデオがない。その他では最もイメージを伝えてくれそうなシャンバラにしておく。
・・・・・なんて思っていたが、ポール・ウイリアムス版があった!そうそう、この編曲で聴きたい。


●『恋するハッカー(3/3)』 2008-02-05
 「Casablanca」 - Bertie Higgins

郷ひろみが日本語でカバーしていたはずだ。オリジナルのバーティ・ヒギンズは文豪ゲーテの傍系の子孫というふれこみだった。映画『カサブランカ』好きにはたまらないキーワードが入った歌詞といい、日本人好みの旋律といい、日本で流行って当然。
こんな歌詞だ。訳者不明だが、引用させてもらう。

I fell in love with you watching Casablanca
 カサブランカを見ながら君に恋した
Back row of the drive in show in the flickering light
 ライトが点滅するドライブイン・シアターの一番後ろの席で
Popcorn and cokes beneath the stars became
champagne and caviar
 星空の下でポップコーンとコークがシャンペンとキャビアに変身した
Making love on a long hot summers night
 暑く長い夏の夜に愛し合った

I thought you fell in love with me watching Casablance
 君もカサブランカを見ながら僕に恋したと思う
Holding hands 'neath the paddle fans in Rick's Candle lit cafe
 キャンドルが灯るリックズ・キャフェの天井で回っている
 ファンの下で手を握り合い
Hiding in the shadows from the spies
 スパイから影に身を隠した
Moroccan moonlight in your eyes
 モロッコの月の光が君の瞳に
Making magic at the movies in my old chevrolet
 僕の古いシボレーの中で映画で魔術を演じている

Oh! A kiss is still a kiss in Casablanca
 ああ、カサブランカではキスは今もキス
But a kiss is not a kiss without your sigh
 でも君の溜息がなければキスはキスじゃない
Please come back to me in Casablanca
 カサブランカに戻って来ておくれ
I love you more and more each day as time goes by
 時が経つにつれて日ごと君への想いが増すばかり


I guess there're many broken hearts in Casablanca
 カサブランカで破れた恋は沢山あるだろう
You know I've never really been there. so, I don't know
 行ったことないからよく分からないけど
I guess our love story will never be seen
on the big wide silver screen
 僕達のラブストーリーがこの大きな銀幕に映し出されることはないだろう
But it hurt just as bad when I had to watch you go
 でも、君が去っていくのを見送らなければならなかった時と
 同じように胸が痛んだ

なんて甘ったるく軟弱な曲なんだろう。「ハードボイルドキャラクターを志向しているわたし」としては納得しがたいものがある。でも、だいじょうぶだよ。疲れきって、意味も無く甘い気分に浸りたいときもある。そんなときには最適な曲だ。
気持ちが折れそうになったときは…どうぞ。

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ここからは、その後に書いた「指輪物語」のための追記だ。


●『さらば愛しき女よ(1/3)』 2008-05-19
 「Surfin' USA」 - The Beach Boys
 http://www.youtube.com/watch?v=k1FaflUn4Co

ソーサに置きそこなったカップがカタカタなってリズムを刻んだのだ。


●『さらば愛しき女よ(2/3)』 2008-05-20
 「Bird On A Wire」 - Leonard Cohen
 http://www.youtube.com/watch?v=9tHvVqeWPF8

この曲には好きな演奏が多い。店で流れていたのはティム・ハーディン(ほとんどの人は知らないよね)のちょっとなさけない歌声だが、ここではやはり作曲者レナード・コーエン版にしておく。


●『さらば愛しき女よ(3/3)』 2008-05-23
 「Sweet Seasons」 - Carole King
 http://www.youtube.com/watch?v=J-8HYbYYW1U

もう、キャロル・キングしかないね。目の前のもやがすっきり晴れていくようなすばらしい曲だ。こんな幸福感にあふれる歌は他に知らない。ジャケットを眺めながら何度も繰り返して聴いた。



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