危険がいっぱい(その参)

原題は「LES FELINS:猫科の生き物?」



2007年10月21日、こんなニュースがネットに流れていた。

コロンビアで先週ペットとして飼われていた犬が誘拐され、身代金35万ドル(約4000万円)が要求される事件が発生したが、犬は事件発生から数日後の19日、無事で発見された。

Exciteニュース「コロンビアで犬の誘拐事件、身代金4000万円要求」』より

という笑える、というか笑えないニュースだ。
ありえる!
あるある!
なんといってもコロンビアでは「誘拐」は、悲しいことに立派なビジネスなのだ。せっぱつまれば何でも誘拐してしまう。

コロンビアに限らない、世界中で、誘拐は年間1万件以上発生している。しかも、「ビジネス」である所以として、人質は他の団体(?)に転売までされている。ときには国境を越えて。
加えて、身代金交渉や受け渡し自体が秘密裏に行われていて、その交渉の方法や金額自体がベールにつつまれ、闇のビジネスとして成り立っているらしい。

コロンビアに住んでいた1988〜1996年の間だけでも、4件の邦人誘拐事件があった。

【1991/08/17 家電関連企業技術者誘拐事件】
アンティオキ県サンカルロ水力発電所の定期点検のために同地の寮に滞在していた家電関連企業の技術者2人が、武装ゲリラFARC(コロンビア革命武装軍)に宿舎より誘拐され、12月16日無事解放。

【1992/01/31 電気工事会社社長誘拐事件】
コロンビア籍の電気工事会社の日本人社長が、プゥトマジョ県モコア市において武装グループに誘拐され、2月22日無事解放。

【1994/09/24 邦人農場主誘拐事件】
カサナレ県で邦人農場主が、コロンビア国民解放軍(ELN)の武装グループに誘拐され、家族らと日本大使館が相談し、犯人側と交渉した結果、11月12日無事解放。

【1998/09/22 在留邦人誘拐事件」】
コロンビアの首都ボゴタの南約60キロのクンディナマルカ県パスカで9月22日、小学校校長や山梨県議を務めた後の1995年にコロンビアに渡って農場を経営していた志村昭郎さん(69歳)が同国最大の左翼武装ゲリラ「FARCコロンビア革命軍)」に誘拐され、身代金を要求されていることが在コロンビア日本大使館の発表(10月24日)で明らかになる。その後、1999年2月25日無事解放。((同農場経営者は2001年9月にも誘拐され、解放される)。

身代金目的誘拐事件(海外日本人)』より

このうち、1991/08/17の「家電関連企業技術者誘拐事件」はコロンビア大停電プロジェクトの間接的な原因となった。やっとダムはできたけど、ダム建設をサポートした日本企業が、技術者が誘拐されるような国に新たな人員を送り込まず、ダムの運転が開始できなかったからだ。

そう。実はここだけの秘密だけど、ほんとうに危ない国なのだ。
ちなみに、外務省・在コロンビア日本国大使館はこんなページを作っている。

日常生活面の安全対策マニュアル 2001年版

これは、つっこみどころ満載でなかなか笑える作文だ。
意にそぐわない国へ赴任させられても、2〜3年で必ず移動がある。次は「等級」の上の国に決まっている。こんな劣悪環境の国には関わらることなく、無事に任期が過ぎるのを亀のように首を引っ込めて待っていればいい…。そんな「MOFA」のお役人様ならばともかく、民間人ではこんな非現実的な生活が実現できるわけがない。

それに、ほとんどのお役人様は、ガード付きの車で、大使館と自宅、せいぜいゴルフ場と日本食レストランと外国人用のナイトクラブ兼「The House Of The Rising Sun」を移動しているだけなのだ。

こんな暮らしをしているから、どこに行っても、「日本人は顔が見えない」とか「ようするに日本人だからね」言われて逆差別されるのだ。

ま、いいや。わたしの知ってる限りの「在外公館」というやつは、お国の政策に則って活動している政府公認企業や、外遊好きの田舎代議士と便乗同行する役人どもの便宜をはかるためにある、ということは衆知の秘密だ。

でも、だいじょうぶだよ。零細小企業と民間人は、それぞれの事情に応じた対応策をとっている。政治家と官僚の言う「自己責任」の上で。

で、コロンビアで生活をはじめて、お世話になった日本人や「自己責任」で友人になったコロンビア人に、幾つかの安全管理の方法を教わった。

そのうちほとんどは実行しなかったために、数度危ない目にもあった。が、「これはやばい」と思って実行していたことも幾つかある。それは・・・・・。
・・・・・次回ということで。